新終活セミナー

ケアプランを自己作成してみませんか?<③介護が必要になったら>


ケアプランを自己作成してみませんか?


~マイケアプランって、なに? 前編

介護保険サービスを受ける際、なくてはならないのがケアプラン。それって、自分で作成できることをご存知でしたか? 自己作成、すなわち「マイケアプラン」の意義や実際に作成するコツなどを今月号と来月号の2回にわたって、ご紹介します。

答える人 島村八重子(全国マイケアプラン・ネットワーク代表)

 

ケアプランの目的と作成者の選択

─― 介護保険のケアプランって、ケアマネジャーに頼まなくとも、自分で作成できると聞いて驚きました。素人でも可能なんですか?

島村 もちろんです。このことを知らない方がまだ大勢いらして、私どもの活動をもっともっと社会に広めていきたいと考えています。こうした機会を借りて、「ケアプランは自己作成できる」ことを一人でも多くの方に知っていただきたいと願います。
最初に、私ども「全国マイケアプラン・ネットワーク」という団体について、簡単に説明させてください。当団体は、介護保険のケアプランを自分で作ろうという利用者や家族、および賛同者のネットワークで、2001年9月に発足しました。現在、会員数は約150名、経験者を含めて自己作成している方は50人を数えます。会員構成や活動内容については表1をご覧ください。


介護保険とは、介護保険制度の中にあるサービスを認定された人が利用できるという制度ですが、ケアプランに基づいてサービスが一割負担で提供されます。つまりケアプランがない場合、一旦、全額を払わないとサービスを受け取れないということです。
ケアプランでは、利用する人が快適な生活を送るために訪問介護、訪問看護、デイサービス、ショートステイ、福祉用具の貸し出しといった様々なサービスを、どの事業者から、どのくらい、どのように利用すればいいかを考えます。ケアプランを立てると、サービスの給付が総額いくらになり、自己負担がいくらになるかも把握できます。
皆さん、サービスについてはあれがいい、これがいいとおっしゃいますが、ケアプランの話はほとんど出てこない。その理由の一つに、ケアプランを立てるには二つの方法があることをほとんどの人が知らない、知らされていないことにあるのではないかと思います。
一つは、ケアマネジャーと呼ばれる専門職に依頼する方法。これはご存知ですね。知られていないのは、外注せずに、サービスを利用する本人、もしくは家族が本人と一緒に作成する方法です。
自己作成する人がどのくらいかというと、要介護者と要支援者を合わせて全体のわずか0.01%という少なさ。この調査は私たちが2009年7月におこなったものですが、今もほとんど変わっていないだろうし、自己作成者の数はどこも調べていないので、たぶん唯一のデータだろうと思います。
各市町村では介護保険のパンフレットを用意し、介護保険の目的やサービスの内容などの説明を載せていますが、自治体に行った調査(平成21年度老人保健健康推進等事業)によれば、「ケアプランは自己作成できます」という記載があるパンフレットは2割ちょっと。8割近くの市町村では記載されていません。ケアプランの自己作成という選択肢がほとんど示されていないのが現状です。
さらに、自己作成ができると聞きおよんだ人が「実際にどうやって作成するのか」を知りたくて、各市町村の役所に出かけたとします。住民向けに手引書の類を用意してあるのは11.5%、内部向けでも約12%にすぎません。ケアプランの自己作成については、残念ながらアナウンスもフォローも、まだまだ不十分な状態にあると言えるでしょう。

二つの方法はどこが違うのか?

─― ケアプランを自己作成するのと、ケアマネジャーに依頼するのでは、どんな違いがあるのですか?

島村 まず契約の流れが異なります。図1をご覧ください。

ケアプランを自己作成する場合は、訪問介護やデイサービスなど様々なサービスを提供する事業者に、介護保険を利用する本人ならびに家族が直接依頼し、調整し、契約します。 一方、ケアマネジャーに依頼する場合は、居宅介護支援事業所に所属するケアマネジャー経由で依頼や調整の連絡を行います。利用者ならびに家族は、まずケアマネジャーとケアプランの依頼を契約します。どんなサービスをどう使うかを相談しながらケアプランを立て、ケアマネジャーがサービス事業者との連絡調整をして、最終的にケアプランができたら今度はサービス事業者とサービス提供に関する契約をします。

─― つまり、ケアマネジャーを間に挟んで交渉するわけですね。

島村 ケアマネジャーは介護保険制度の専門家ですから、サービスの種類や内容はもちろん、それらサービスの給付費などについても熟知しておられます。認定されると給付がいくらで、自己負担額がいくらかという給付管理も、テキパキと計算してくださいます。
また、サービス事業者に関する情報も豊富です。利用者が必要とするサービスをどの事業者に依頼すれば引き受けてくれるか、つまりいろんな引き出しを持っていらっしゃる。ケアマネジャーに依頼するメリットの一つは、利用者の意思によって、様々な種類のサービスを様々な事業者から選択できる可能性がより高い、ということではないでしょうか。
しかし、ケアマネジャーは一人で何十人もの利用者を抱えています。自己作成を思い立った人のうち、ケアマネジャーとの連絡がつきにくくプランの見直しや事業所の変更などを頼みにくかった、とても時間がかかったという方が少なからずいらっしゃいました。
その点、自己作成の場合は利用者が一人か、多くとも二人がほとんどです。サービスを提供してくれる事業所とも直接、やり取りができます。そのほうが利用者も家族も要望や変更を伝えやすいし、迅速でしょう。

マイケアプランが目指すところ

島村 私が父や義母の介護体験を通じて感じたのは、何らかのケアが必要になったとき、制度に暮らしを合わせるのではなく、暮らしの中に制度を取り入れるということでした。介護保険制度の枠に縛られず、まず自分が望む暮らしを考え、そのための手立てを探る。10人の利用者がいたら、暮らしは人それぞれですから、ケアプランも10通りあるはずです。
これまでの制度と利用者との関係性は、こうした視点が抜けていたように思います。サービスの利用は、あくまでも従来の暮らしを継続するためであり、引いてはケアプランも利用者のそれまでの暮らしや生き方、価値観が土台にあるべきではないでしょうか。ケアプランをケアマネジャーに依頼するにしろ自己作成するにしろ、利用者のそれまでの暮らしや生き方を十分に知っていることがポイントになると思います。
そうした生活・人生の根幹に関わるようなことは、少なくとも当事者が自分で考えよう!という意見に賛同し、自己作成を視野に入れて集まったのが私どもの団体です。幸いにして、福祉・医療などの専門家を含むたくさんの方が応援団として、参加してくださいました。会員同士で情報を交換したり、専門家の助言をいただいたり、介護保険について勉強しながらケアプランを立て、介護を取り巻く問題を当事者側から発信しています。
次回は、私どもがこれまでに蓄積してきたノウハウを盛り込んだツールなどを紹介しながら、実際にケアプランを立てる際、必要なことやコツ、注意点などについてお話したいと思います。

(出展: 『100年コミュニティ』2013年2月号6~7ページ※登場された方の肩書き等は、特記のない限り元原稿のままにしています)

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