新終活セミナー

マイケアプランで、目標づくりを<③介護が必要になったら>


マイケアプランで、目標づくりを

~マイケアプランって、なに? 後編

前編で、介護保険制度におけるケアプランの目的に始まり、「マイケアプラン」が目指すものを教えてもらいました。
後編では、マイケアプランを作成する際に必要なことやコツ、注意点などについて、お話いただきます。

答える人 島村八重子(全国マイケアプラン・ネットワーク代表)

 

 ケアプランとは暮らしの棚卸し

 ―― ケアプランも、利用者のそれまでの生き方や価値観が土台にあるべきではないかという指摘、すごく新鮮でした。

島村 前号でもお話したように、気をつけたいのは介護保険制度の枠に縛られず、まず自分はどう暮らしたいのかを考え、そのための手立てを探るということ。ちょうどいいものがあれば制度を使えばいいし、制度になければ別の道を探してみる。頭を柔軟にして考えるのがポイントです。
義父母2人を介護した経験から、ケアプランを考えるということは結局、それまでの暮らしの棚卸しをすることだと気づきました。自分らしさ、自分らしい暮らしってどういうものか、具体的に書き出してみる。マイケアプラン作成のために私どもが提案しているツール「あたまの整理箱」でも、一見関係ないと思われるかもしれませんが、まるで履歴書のように人生の出来事、自分の性格や趣味、好きなことを記入する欄を設けています。
また、現在の身体状況や生活環境など、介護を必要とする人のさまざまな背景を把握する必要があります。たとえば1人で出来ること・出来ないこと、家族構成や身内、友人などとの人間関係、その人たちの状況はどうなのか、などを1つずつ整理していきます。
その上で、これから先どう暮らしていきたいかを考えます。この段階に至ると、それぞれの生活観や家族観が問われる場面が出てきます。もしかすると夫婦間や家族間で、くい違うことがあるかもしれない。だからこそ1人ではなく、家族やサポーターなどいろいろな人の考え方や見方を取り込み、違いも認めながら調整しつつ、ケアプランを作成することを「あたまの整理箱」は提案します。
万一、家庭内で意見が衝突したとしても、知り合いや専門家など、客観的で多角的な立場からの助言が解決に役立つことも少なくありません。自分らしい生活を送ることを諦めず、支障となることを解決するための手立てを前向きに探してみてください。

介護保険の3大原則を頭に刻み込む

―― 介護保険制度についての知識は必要ないですか?

島村 よく聞かれるのですが、自分も実際にやってみて、たいしたことはないというのが実感でした。ケアマネジャーに依頼するにしても自己作成するにしても、ケアプランを作る上でいちばん大切なのは、介護保険を利用する本人であれば自分を知ること、家族やケアマネジャーであればその人を知ることではないかと思うのです。どう暮らしたいかという漠然としたイメージも、その人を掘り下げていくことで、より具体的なものへ近づいていくのではないでしょうか。
2番目に必要なのは、その地域にはどんな人たちがいて、どんなサービスがあって、どんなボランティア団体があるかといったこと。介護保険制度について学ぶのは、そのあとでした。しかも、どんなサービスが何点かという細かいことよりも、介護保険の3大原則をしっかり頭に刻むことが大事です。自己選択、自己決定、自己負担を含め選んだことには自己責任があるという3つです。
自己作成には、インターネットをはじめ積極的な情報収集活動が欠かせません。自治体から介護保険に関する説明書やパンフレット、地域の事業者情報、介護保険のサービスコード表などを受け取るほか、近くの地域包括センターもどんどん利用しましょう。地域包括センターの業務の1つに、「自己作成の支援」が掲げられているのですから。

コツおよび注意点

―― コツがありましたら、教えてください。

島村 最初のプランが完璧だと思わないことです。いくら時間をかけて皆で知恵を出しあったとしても、最初のプランは机上で考えたものにすぎません。それがうまくいくかどうかは、やってみないとわからない。ケアプランは、不都合が生じたら我慢したり億劫がらずに、調整しながらより良いものへ進化させていくものだと思います。
第2点は、最初から目いっぱいサービスを使おうと思わないこと。公的サービスをたくさん使用すると、結局それに振り回され、自分の生活が窮屈になりがちです。最低限のサービス利用から始めることをお勧めします。
先程少し触れたように、みんなで考え、作ることも大事です。私も人の意見を聞いて、目からウロコが落ちる経験がありました。サービスを提供してくれるヘルパーさんなど、ことに人の気づきというのは大きなヒントになります。最終的にケアプランが目障りにならない生活が送れたら、大成功だと思います。
逆に、陥りやすい落とし穴というのもいくつかあります。注意点ですね。第1は、お買い物ゲームになりやすい。介護保険制度では要介護度ごとに限度額が決められていて、1割の自己負担でサービスを利用できます(2017.4現在では2割負担の場合もある)。まだ余っているから、もっとサービスを利用しようと考えてしまうと、ケアプランが主役の暮らしになってしまいます。限度額はあまり意識せず、必要なものを積み重ねていくほうがいいと思います。暮らしの主役はあくまでも本人、介護を受ける人です。
ついでに言うと、ジグソーパズル感覚も気をつけてください。1週間の予定を組んでみると、けっこう空欄があったりします。そうすると、空いているところに何か予定を入れたくなってしまうんですね(笑)。暇な時間、自分の時間も楽しんで欲しいと思います。
コツのところでお話した「みんなで考える」の裏返しバージョン、「殻を作ってしまう」も陥りやすいパターンです。自分1人の考えではどうしても視野が狭くなり、選択肢も狭まります。もっといろいろな人に突っ込みを入れてもらい、風穴を開けてもらうと、より良いケアプランになるのではないでしょうか。
専門用語はそれこそ要注意です。サービスを受けていると、介護職の人が専門用語で話しかけてきたりします。たとえば、「立つ」を「立位を保つ」、「きれいにする」を「清拭する」とか(笑)。暮らしの中でそういう言葉はほとんど使いませんよね。
専門職の人が専門用語を使ったら、「分かるようにいってください」とこちらに引き戻す。こちらが専門家にならないようにすることも、意外に大事かなと思います。


最後になりましたが、最期まで自分らしくありたいと考えた時、自分の人生の専門家は自分であることを自覚することが大切なんだろうと思います。家族にしろ、専門家にしろ、決して人任せにしてはいけないのです。

(出展: 『100年コミュニティ』2013年3月号6~7ページ※登場された方の肩書き等は、特記のない限り元原稿のままにしています)

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