300坪コミュニティスペースの構想を、「わっぱの会」会長が語る
2017年3月23日、「わっぱの会」の斎藤縣三会長に、「ゆいま~る大曽根」の1階につくるコミュニティスペースの構想を語っていただきました。
以下、そのお話の要点です。
*大曽根住宅3号棟1F集会所で行われた『第5回 名古屋大曽根100年コミュニティをつくる会』(主催:一般社団法人コミュニティネットワーク協会)にお越しいただきました。
「しげんカフェ」を中心に
人が集まり、交流と生きがい、雇用の生まれる場をつくる
わっぱの会は『障がいを持つ人もそうでない人もみんなが共に働き、共に生活する場をつくり、共に生きる社会を実現しよう』と1971年に始まり、今年で46年目を迎えます。スタート当時は、「山奥に障がい者の施設をつくり閉じ込める」という制度政策しかない時代でした。「なぜ、山奥で障がい者は暮らすのか?」「名古屋の町の中で一緒に生きたい」―――それが活動の出発点でした。
現在、名古屋市内14カ所に拠点があり、20の事業を展開しています。北区大曽根に拠点を移したのは1988年です。そして今から6年前、ハローワークのあった大曽根4丁目の建物を借りて、もう一つのパン屋さんをつくり、障がい者を応援する活動を始めました。一昨年は三宅眼科の手前、19号の交差点のところに、生活困窮者を支援する相談活動を始めました。仕事・暮らし自立サポートセンターです(他業者が名古屋駅周辺と金山駅でも開設)。地域を強く意識しています。相談を受けるだけではなく、困っている方たちの現場に出かけていき、民生委員の方たちとも連携し、地域から暮らしを支える活動をしています。
そして昨年5月に、大曽根住宅の1階にコミュニティスペースを作ってほしい、という提案をコミュニティネット社からいただきました。ここでは、資源カフェという取り組みをしようと思っています。オープンは来年4月の予定。コンセプトは、①人が集まり、交流と生きがい、雇用の生まれる場、②外部的な大空間の中に小さな溜まりが連なる集落のような場、③完成された空間ではなく、可変性や発展性をもつ有機的な場、の三つです。
「しげん(資源)カフェ」とは何か
「しげん(資源)カフェ」は、愛知県の津島市に浅井直樹さんが作られたものです。この方は、津島市役所の環境局で仕事をしてこられたプロ中のプロ。津島は分別方式の「つしま方式」を全国で始めてスタートしたところです。この浅井さんは行政が行うリサイクルを追及されてこられた。
しかし浅井さんは「行政が税金をつかってリサイクルする時代ではない」とみた。浅井さんが考えたのは、「すべては資源として使われていた、ごみの出ない時代」のあり方でした。戦後の高度経済成長でごみが大量に発生するようになりましたが、今は、資源問屋さんが儲かるようになっています。それを市民に取り戻そう、利益の一部は市民に還元しましょうというのが「しげん(資源)カフェ」です。
市民が持ち寄った資源はチケットと交換し、それが使えるカフェを開く。市民はリサイクルステーションに資源をもっていき、チケットをもらい、カフェでくつろぐ。津島のカフェは市民の憩いの場、情報交換の場となっています。そこで、認知症カフェや子ども食堂なども開かれています。ここは丸4年たちました。今も発展しています。1日2トン以上、集まるようです。
浅井さんは津島モデルを他の地域でも広げたい、と考えています。私もやりたいと思っていました。津島は200坪ほど。名古屋でそんな場所は簡単には手に入りません。そんなとき大曽根の話があり、300坪近い場所なので「しげんカフェができるかもしれない」と思ったわけです。事業としても成り立つはずなのです。
大曽根では、リサイクルステーションと同じ建物内にカフェレストランができます。パン屋さんの機能もつくりたい。リサイクルショップ的スペースも作りたいと思っています。パンだけでなく、必要な食料品や雑貨も販売できるようにしたい。
資源回収、カフェ、地域食堂、販売ショップ。これらを一体的にやっていこうと考えています。周辺地域の方に喜んでいただける展開をします。「片付けサポートします」といったサービス、「なんでも屋さん」もします。困りごとがあったら、飛んでいけるような活動も地域で行いたい。配食の注文販売もしたい。加えて、総合相談事業をすることで、地域の窓口にもなりたい。コミュニティネットの生活相談とも連携しながら取り組みたい。
わっぱの会は「職業紹介所」として認定されていますので、職安がなかなかやらない、高齢者を対象とした職業紹介などもやりたい。医療的な相談や測定、コンビニがやるような宅配の受付、キャッシュディスペンサーなどの機能ももてるようにしたい。そして、地域の活動支援もあわせもつ総合的な機能をもつ事業所をだしたい。また、高齢者介助の事業も行いたい。介護保険に頼らなくても、地域で暮らせる仕組みが欲しい。高齢者支援団体とも連携したい。
多目的スペースでは市民活動をしていただきたいとも思っています。大曽根や近隣の学区との連携も深めながら準備をしていきたい。地域活動に積極的に参加をして、朝市などは農家の方々の協力を得て開催したり、活気あふれる場、人が集まる場にしたい。地域のみなさんと共に作っていきたいと思います。
参加者からは、「わっぱの会が300坪に入ると聞いて、びっくりした。よくやっていけるなあ、と。でも、これならできるな、と安心した」といった声をいただきました。