子どもの反対と応援で心は揺れたが、 暮らしている人びとの活気が住み替えの決め手
ゆいま~る福に入居してまだ4カ月の岩元美津子さん(79歳)に、住み替え前後のお話や住んでからの感想をうかがいました。5年前に高齢者住宅の情報収集を始めたそうです。夫を見送った3ケ月後でした。娘さんの応援の一方で息子さんには反対されて心が揺れる中、建物や支援内容よりも検討されている方の活気が決め手となってゆいま~る福を選ばれました。今は大阪市郊外にある戸建ての家の片づけをしながら、ゆいま~る福での暮らしを楽しんでらっしゃいます。
ゆいま~る福
岩元美津子さん(79歳)の場合
(お引越し日は2016年11月20日)
夫との闘病生活12年、この間は日々の対処で精一杯
夫が2012年に亡くなり、今年で5年が経ちました。夫は69歳の時にガンになり、手術後の予後があまりよくなく12年間に及ぶ闘病生活を送りました。その頃は私自身、老後のことを考える余裕もなく、夫の病気とその日その日に対処することで精一杯でした。
しかし夫が亡くなり一人になったことをきっかけに、自分自身の終のすみかを探し始めました。約40年間住んでいた川西市は、友だちもたくさんいて、環境もよく住みやすいところでしたが、一人で戸建ての家に住み続けるのは難しいと感じていました。住み始めた当時はニュータウンと呼ばれたところが、今では5700戸(戸建て)のうち約400戸が空き家と聞いています。住民の平均年齢も67,68歳と高齢化してきています。
決め手は、建物や支援内容以上に人にエネルギーを感じたから
高齢者住宅を探し始めたのは、まず「シニアの暮らし研究所」の勉強会に参加したことからでした。そこで「ゆいま~る福」の見学会が開催され、参加したのがゆいま~る福との出会いです。他に検討していた高齢者住宅があったのですがそちらは費用的に折り合わず、あきらめました。ゆいま~る福以外にも「ゆいま~る伊川谷」にも何度か見学に行ったり、泊まったり、お茶の会にも参加しました。
ゆいま~る福の決め手はなんといっても、検討されている方やゆいま~る伊川谷に実際に住んでいる人に活気があったということです。ふつうの高齢者住宅を見学に行くと、平均年齢が84~85歳と高く、いかにも高齢者住宅という感じがしました。ゆいま~る福の場合は建物よりも人に「自立していこう」というエネルギーがある雰囲気が気に入り申し込みました。
お気に入りの犬のぬいぐるみ「パリちゃん」
息子は賛成してくれなかったが、最後は「いいところだね」と
実際に入居を決めても、気持ちの上では行きつ戻りつしていました。私には息子と娘がいます。娘は近くに住んでいるのですが仕事をしており、毎日忙しい生活を送っています。もしも自分に何かあっても「子どもに迷惑をかけたくない」という気持ちよりも、娘の状況を考えると物理的に負担が多く現実的に頼めないと感じていました。娘はゆいま~る福にも何度か一緒に見学にも来てくれて、「もし入居して合わなかったら、戻ってきてもいいのだから」と背中を押してくれ、ずいぶん気持ちが楽になりました。
一方、息子は仕事の関係で東京に住んでいます。高齢者住宅への入居を検討している話をすると、当初はとても反対されました。「何かあった時は自分が駆けつけるから」と言ってくれますが、それぞれの仕事も生活もあるのだから現実的には無理な話です。なかなか話し合っても解決することはなく、自分の意見を言えば言うほどお互いにヒートアップしてきて話は平行線のままでした。私は自分の墓穴は自分で掘りたい性格ということもあり、ある時「私は入るから!」と伝えました。
子どもには「親を助けたい」という言い分があるとは思いますが、もう少し現実を見て欲しいなぁと思います。私たちだけじゃなく、子ども向けの老後の勉強の場は必要かもしれませんね。そんな息子も、入居後にゆいま~る福のゲストルームに泊まったところ「いいところだね。早めに入居してよかったね。」と言ってくれて安心しました(笑)
お部屋の様子
今は“安定した孤独感”と共に
私の部屋はCタイプで、福町公園に向いている南向きの40㎡のお部屋です。特徴としては、広いクローゼットが気にいりました。とにかくお部屋の機器類がシンプルなのがいいのです。娘のマンションなんかは便利すぎてなかなか使いこなせないです。以前は戸建てに一人暮らしだったので、お部屋はずいぶん狭くなりましたが快適な広さです。
これからの生活をあれこれ夢見ながら引っ越しの片づけに追われるハイテンションな時期が終わり、白い箱のような部屋を落ち着いて見回してみると、改めてひとりであるという孤独感が戻ってきました。戸建てに住んでいる時は、お友達やご近所と楽しい毎日でしたが、大きな家の中で沢山の想い出のある物にとらわれたり、使ってはいない部屋が空虚だったり、草がどんどん伸びて庭を侵してきたり……というそんな中でこれからの生活は大丈夫かと案じる孤独感です。その孤独感は戸建ての方が大きかったです。今は少し時間がたって、「見守りのある安定した孤独感」に落ち着きました。
今の日常の暮らしは朝7時頃に起きて、ゆっくり食事をします。朝食パン食やリゾットを作って食べています。あと緑黄色野菜やタンパク質補給に玉子は毎日食べていますね。3日に1度は梅田に出かけたり、川西の家の片付けがまだ残っているので帰ったりしています。出かけた次の日は疲れをとるため部屋でゆっくりと過ごすことにしています。やはり70歳代と80歳代の違いは、こうしたペースの違いです(笑)
引っ越しは80歳が限界
自分が引っ越しをしてみて、引っ越しは80歳が限界だと思いました。自分のまわりを見ると、どんなに立派な人でも80歳を超えると気力・体力共に思うようにならず決断力がなくなります。勉強会や高齢者住宅の見学、宿泊体験をすることで、次の一歩につながるような気がしています。今年で80歳になりますが、不思議に気持ち的には自分が歳をとっているとは思いません。もちろん疲れやすくなったり、物忘れがあったりという自然現象はありますが、「年寄りは年寄りならではの何かしら値打ちがある」と思っています。先のことはわからないですが、ゆいま~る福では介護が必要になっても、ヘルパーさんに来てもらうなどの介護サービスを利用して、最期まで住み続けたいと思っています。そのために完成期の勉強もこれからしていきたいですね。
また、ゆいま~る福に入居された皆さんやスタッフさんともご縁あって知り合うことができたので、朝のラジオ体操や、イベント、何気ない会話を楽しみながら、和気あいあいと楽しく暮らしていきたいと思っています。
宝物の絵。お知り合い方のお孫さんの絵に自分で色をつけた。