ゆいま~る福ブログ

ゆいま~るお役立ちセミナー「スッキリ片付け! シニアのための整理術講座」


「整理は苦手!」という人が多い中、シニアのための整理術セミナーがゆいま~る福で行われました。好評だった内容をまとめましたので、ぜひ参考になさってください。

講師:香川康子(かがわ・やすこ)さん
家事セラピスト 生前整理アドバイザー
2005年、片付け・収納・インテリアの仕事を女性3名でスタート。現在、片付け・生前整理セミナー講師、片付け相談&アドバイス、個人宅訪問のマンツーマン片付けレッスンなど。
ブログ:「おもいでびより」
※家事セラピスト…一般社団法人家事塾が養成している資格。

■片付かない原因第1位は?

「整理」とは、いる物といらない物とに分けて、いらない物は手放していくということです。まずは、片付かない原因ですが、いろいろあります。
・捨てられない。
・片付けが苦手。
・収納スペースが少ない。
・物が多い。
・時間がない。
・先延ばしにする。
・家族が片付けない。
などです。また、原因が1つではなくて、2つ、3つと組み合わされることもよくあります。私が片付けのお手伝いをしてきた中で、9割8分が「物が多い」でした。残りの2分は収納の問題で、どこになにを収めていいかわからないというお悩みでした。
物が多いと言いますが、私たちはどれくらいの物を持っているのでしょうか。
4人家族でだいたい6000点の物を持っている(『主婦の友』2004年4月号)という調査がありました。引っ越しのダンボールにすると一人当たり10~15個になります。片付かなくて床に直置き状態の場合は、8000点にもなるそうです。

■片付かないピークは人生で2回ある!

『人生十二相 おおらかに生きるための「捨てる! 」哲学』(辰巳渚著/イースト・プレス)を参考に1枚のイラストを起こしました。→拡大はこちら

図に書かれているのは、年齢、人との関わり、家との関わり、関わる事や物の量です。私たちの人生は常に変化しています。変化に合わせて、家族も変わり、住まいも変わり、必要な物の量も物自体も変わっていきます。
人生で、片付かないピークは2回あります。1度目は「子育て期」です。ご結婚された方は家族が増え、さらにお子さんが生まれると必要なものがぐんと増えていきます。結婚されていない方は「繁忙期」。お仕事が忙しくてなかなか片付かないのです。2度目は「シニア世代以降」です。物は勝手には減りません。減らさないと結果として増えていってしまいます。数年前から親の家の片付け問題がテレビや雑誌で取り上げられていますが、必要なものを買っていくうちに、昔の物が捨てられないままどんどん増えていってしまい、久しぶりに実家を訪ねてみると、親が物に囲まれて暮らしているという状態ですね。
なぜでしょうか。1つは、物を減らしていないからです。いつか片付けようと思ってずっと来てしまった、長年のつけが回ってきてしまったということです。
もう1つは、片付けというのは気力、体力、判断力が必要です。元気なうちにやっておかないとやっかいなことになってしまうということです。
管理能力は記憶力とも比例します。私も、最近、片付けをしたことを忘れて前の場所を探して「あれ、おかしいな」ということがありました。残念なことに年齢とともに物の管理能力、片付け能力が低下してしまうので、そのままにしておくと後々大変なことになります。
介護関係の方に聞きますと、自分で片付けるにはリミットがあるとのこと。たとえば要介護度が進んでしまうと、自分で片付けが出来なくなってしまいます。元気なうちに片付けましょう。「いつかしよう」の「いつかはこない」のです。
ポイントは、暮らしの変わるとき、節目のときに片付けをすること。前は使っていたけれど、今後は使わないもの、今の自分には必要の無いものを手放して、物を減らす努力が大切です。

■計画を立てる

そうはいっても、いつかしようと思うけど、なかなか腰が上がらない。具体的に何から始めるかですが、まず先に「締め切り」を決めましょう。いつするかを決めてしまうのです。手帳に書き込みましょう。片付ける物がたくさんある場合は、年間計画を立てて、それから月間、週間計画に落とし込んで、手帳やカレンダーに書いていきます。100円ショップで売っているような小さなカレンダーを購入して、「片付けカレンター」を作ってもいいですね。いつ、何の片付けをするのか計画を書いておきます。
お金も貯めようと思ってもなかなか貯まらないのと一緒で、片付けもいつか時間ができたらしようと思ってもなかかなできません。ポイントは、ごみの収集日前にやることです。そうすると片付けたものはすぐにごみとして出せます。大型ごみとか資源ごみの前に片付けましょう。

4つに分類する

片付けというのは、分類が大事です。
いろいろと分類方法がありますが、よく聞くのは「いる・いらない・保留」の3分類ですね。
今日ご紹介するのは4分類法です。これは一般社団法人生前整理普及協会がおすすめしている方法です。
1がいる、2がいらない、3は迷い、4は移動です。100円ショップで売っているブルーシートを4分割して、その上に置いていきます。

「いる」は、今使っている、今後使うことが確実である物。また、持っているだけで満足、手放させない物です。
「いらない」は、今使っていない、今後使う予定の無い物、手放せる物。
「迷い」は迷ってしまう物。保留の物。なぜ「迷い」をつくるのかというと、いらないと思って捨ててしまって後で後悔しないための保険のようなものだからです。直感で分けられる人もいますが、一応8秒と決めます。8秒で決められなかったら「迷い」へ入れ、期限を決めてチェックし直します。期限は半年が目安です。経験上、この「迷い」は半年後にはほとんど「いらない」に入ってしまいます。未練がある物を時間で解決するという考えです。敗者復活で「いる」に入ることはあまりないのですが、保留にしておくことでちょっと安心できますよね。
「移動」ですが、これはオリジナルです。たとえば、キッチンを片付けていたときに洗面所で使う歯磨きのストックが出てきたとか、その物が本来使うべきところに無かったときは「移動」へ入れます。いるけれども今は使わない物や、使わないけど思い出の品として取っておくというのも、ほかの場所に移動します。また、他の人に譲りたい物も「移動」になります。保管場所に移動するときの大事なことは、また後で説明します。

■片付け例…60代シングル女性の場合

お母さんと二人暮らしだった60代シングルの女性の片付け例を紹介します。お母さんを介護しながらフルタイムで勤務していましたが、90歳で見送られて、ご自身も定年。お母さんが片付けるのを嫌がり手が付けられなかったのですが、今後は自分のために時間を使って趣味を楽しみたいということで、ご依頼いただきました。
下の写真は、2階の和室です。ここにお布団を敷いてお休みになっていました。隣の洋間の二面に作り付けのクローゼットがあったけれども、入りきらないお洋服を壁側にかけていらっしゃいました。日用品も机や畳に直に置いたりしていました。

これを4分類で片付けていきました。
洋服は、今後も着る服は「いる」、もう着ない服は「いらない」。この方は決断が早くほとんど迷いはありませんでした。ただお母さまのお着物は、「これはちょっと置いておくわ」というものもありました。衣装持ちで洋服であふれていたのですが、選別して今後も着る洋服を隣のクローゼットに「移動」させました。
その結果、下の写真ようになりました。

写真を取るときにドアを開け放したままで右側に写っていますが、スッキリとしてすがすがしくなりました。
前は寝室だったのですが、隣の洋間にベッドを置いて寝室にし、ここは趣味を楽しむ部屋にしました。絵手紙を書いたり、手芸をしたり、遊びに来た親戚がお泊りになる部屋になりました。
すごくスッキリしたお部屋になりましたが、みんながみんなこういうゴールを目指すのではなくて、ゴールはひとそれぞれということをお忘れなく。

■早く始めるメリット

片付けを早く始めると何がいいかというと、今後の暮らしが快適になる、心も軽やかになり、なにか始めようという気持ちになるということです。自分で判断できるので、自分の意向を反映できます。
物を無駄にせずに済むということもあります。たとえばリサイクルに出す、価値がある物は買い取ってもらうなどです。物を引き取ってもらう際の出費も抑えらます。今は、物を処分するのにお金も手間もかかってくるという時代です。物を片付けるのが忍びないとそのままにしておくよりも、早く始めたほうが物を無駄にせずに済みます。
また、早く片付けると、暮らしの変化に対応しやすいのもメリットです。さきほどの60代の方ですが、1階のお部屋も片付けました。今後、2階での生活が厳しくなったら、1階にベッドを移動して寝室にすることも出来ます。バリアフリーリフォームをするとき、住み替えのとき、物がたくさんあると大変で、片付けられないために断念される場合もあります。早く整理しておけば、今後の暮らしが変わっても、すぐに対応できるのです。

■「捨てる」から「選ぶ」へ

捨てなくてはいけない、と思うストレスは誰でも多かれ少なかれあります。「大切なものを選んで残そう」という発想の転換をしましょう。どういうことかというと、たとえば洋服の場合、今の自分、今後の自分が必要とする、似合う洋服を選んで残すという考え方です。実際に着てみると一番よくわかります。
大切なもの選んで残す方法はいくつかありますので、説明していきましょう。

・コンパクトにして残す方法

思い出の品の場合、厳選して残します。最終的に残すのはみかん箱(37×33×24センチ)1つ分です。今後、住み替えをすることになれば、間違いなく今の暮らしよりも狭くなります。スペースが限られてしまうので、生活必需品以外はみかん箱1個くらいが妥当でしょう。「思い出箱」ですね。これくらい残しておけば、最後まで手元に置いておけます。必ず蓋付きのもので、除湿剤や防虫剤を入れておきましょう。
分厚いアルバムも保管場所に困りますね。私の父は晩年一人暮らしでしたが、エクセルで家計簿を付けるくらいキッチリしていました。が、写真だけは整理していなかったのです。亡くなったとき、仕事仲間2人に手伝ってもらい、丸1日かけてざっくり整理しました。最終的には家族でないと4分割できませんから、何回か通いました。そして、写真に写っている人に(兄家族などに)、写真を送りました(移動)。私は自分で「特選アルバム」を作りました。いいものを選んで30枚残し、小さいアルバムに収めました。このくらいなら思い出箱の中にも入ります。
写真を1冊にまとめると、「フォト自分史」が出来上がります。さまざまなエピソードが思い起こされてきて、生きてきた道のりを振り返ることができます。今自分があるのは育ててくれた両親のおかけだと、感謝したくなります。いつでも見られるし、手元において残しておけます。
写真整理は苦手でしたが、これをきっかけに好きになりました。とくに、父が写したと思われる母、祖母、兄、私のなにげない日常写真ですが、父の会社の社宅に住んでいたころで、記憶が一瞬にしてよみがえりました。父のまなざしが感じられる1枚で、私の宝物になりました。残念なのは、もっと早く整理していたら、父と一緒にできて、そのときのエピソードとか、母の話とかいっぱいいい話を聞けたのになあと、思ったことです。
また、デジタル化する方法もおすすめします。私の長男のアルバムですが、初めての子供ということもあり、5キロもありました。これをはがすことなく、表紙も含めそのままデジタル化するサービスがあります。結果、20分の1の249グラムとなり、DVD2枚に収まりました。

しかも、1枚は音楽付きでテレビに接続して見られるのです。お値段は1冊7000円くらいと少しかかりますが、おすすめです。
余談ですが、私のプロフィール写真は写真館で撮ってもらったものです。とても上手く撮ってもらったので、エターナルフォト(遺影写真)として、もしなにかあったらこの写真を使ってと伝えています。数年に1度、写真館に行くのもおすすめです。

・譲って残す

誰かに譲る・託して「残す」という方法もあります。たとえば、宝石などの貴重品や骨董品などです。譲りたい物と譲りたい人のリストを作るといいでしょう。決めたら打診をします。相手が遠慮ではなく本当にいらないということであれば、あきらめて次の人を考えます。あまり高価な物は贈与になりますので、心配ならば専門家に相談していただければと思います。
代々伝わる物は、必ず「いわれ」を書いておきましょう。じつは私の家で懐剣が出てきたのですが、曾祖母が14歳でお嫁に来たときに持ってきた物だといういわれを祖母が書き付けてくれていたので、ファミリーヒストリーがわかったというとがありました。

■誰かと一緒に

片付ける際は、できれば誰かと一緒にするのがおすすめです。お子さん、お孫さん、甥っ子・姪っ子さんなど、自分から声をかけてください。父は生前、写真の整理をしていないのを気にしていたのですが、私はそのままにしていたのですね。今にして思えば、父は親のプライドから手伝ってくれとは言えなかったのではないかと…。できれば、自分から声をかけてほしいです。そして、手伝ってほしいことを具体的に伝えましょう。たとえば、若い方は、情報収集は得意ですから、リサイクル、ネットオークションなど情報を集めてもらう。どのくらいの値段で売れそうかとか、たとえばお着物の一部を使って雛人形を作るとか、テディベアを作るとか、いろいろなサービスがありますから、そういう情報を集めてもらうのです。
あとは、力仕事です。粗大ごみの処分など自分で持ち込むと処分費が安い行政もありますから、若い人に手伝ってもらうといいと思います。片づけがコミュニケーションのきっかけにもなります。
ただ、子ども世代は「いつまで置いておくの?」「もう捨てたら?」などと言いがちなので、けんかにならないよう配慮は必要です。
身近に手伝ってくれる人がいない場合は、片づけのプロもいます。私もその一人ですが、そういう人に頼んでもいいです。
よく家に物の処分サービスの電話や、トラックで「不用品処分します」と回っていたりしますが、トラブルが起こらないとも限りません。信頼できる人や会社か慎重に調べた上で、頼むのがいいでしょう。

■よりよい暮らしのために

今日は物の片付けの話だけしましたが、生前整理講座のときは、心、物、情報の整理の3つをお伝えしています。
心の整理とは、今までの人生を振り返って、大切な人に思いを伝えること。残すのは物や財産だけではありません。
情報の整理とは、もしものときに誰に伝えるか、どうしたいのかなど、情報を整理することです。
また、高齢者の事故の約8割が家の中で起きています。安全のためにも、階段に物を置かない、タンスや食器棚の上に物を置かないなど、チェック項目がありますので、ぜひ確認してみてください。

最後に、なぜ片付けをするかといえば、今とこれからの自分のよりよい暮らしのためです。
自分で片付けて、自分で大切なものを選べるうちに、お元気な今、始めましょう!!  (ゆいま~る福 2017/3/9セミナーより)

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