ゆいま~るセミナー「サービス付き高齢者向け住宅って?」が開かれました!
6月のゆいま~るセミナーでは、
「サービス付き高齢者向け住宅ってなに?」
「名前は聞くけれど、よくわかない」
という声にお答えして、これまで4500人を超える高齢者の住み替え相談経験を持つ高齢者住宅情報センター 大阪センター長の米沢なな子さんにご登壇願いました。
セミナー参加の皆さんは、13名。男性、女性、お一人の方、名古屋市在住の方、岐阜県から来られた方などさまざま。「つれあいを亡くして一人暮らし」「終のすみかを探したい」「高齢者住宅について知りたい」と熱心な皆さんを前にし、「介護が発生するのは80歳~85歳くらい。住み替えは80歳くらいまでの元気な間に、できれば75歳くらいが分岐点かな」と米沢さん。サービス付き高齢者住宅を理解するには、まず高齢者住宅全体について知ることからはじめましょう。↓講師の米沢なな子さん
■高齢者住宅には「元気な方向け」と「介護の必要な方向け」がある
高齢者住宅には、大きく分けて「お元気な方向け」と「介護が必要な方向け」とがあり、かなり差があります。元気な方向けの場合は、「バリアフリー仕様、緊急ボタン設置、安否確認がある」こと以外は普通のマンションと変わりなく、外出も食事も自由。一方、介護が必要な方向けの場合は、24時間の見守り重視。自由度やプライバシーにかなり違いがあります。
そして、高齢者住宅の種類もいろいろ。有料老人ホーム、シニア向け分譲マンション、ケアハウス、そしてサービス付き高齢者向け住宅。さらに、認知症の方向けのグループホームなどもあります。
■国のイメージと違うサービス付き高齢者向け住宅がほとんど
サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)は、2011年に登録が始まりました。国が、団塊世代の高齢化に備えて、補助金を出して高齢者の住宅を整備しよういうことで始まりました。国としてのサ高住のイメージは、手厚いサービスはなく生活相談と安否確認のみ、部屋は一定の広さがあるバリアフリーで、お元気な方が早めに住み替えて、来るべき老後に備えてほしいというものでした。固まって住んだほうがサービスは安く受けられますからね。
しかし、現状のサ高住は、介護の必要な方向けの狭い居室が圧倒的に多い。そのほうが、事業者が儲かるからです。事業者は、介護認定を持っている人に入ってもらえれば、介護保険料が入ってくるからです。お元気な方が入居しても、介護保険料は入ってきません。
1万2000軒の高齢者向け住宅の8割は18㎡の介護の必要な方向けとなっています。とても元気な人が入る住まいではありませんよね。
事業者は、「サ高住だから安い」「特養を待っている間に入れる」と強調します。実際は、要介護の人が入っているから、1階に訪問介護事業所とか食堂があり、そこに介護スタッフが居て、介護が必要な方をぐるぐる回って介護しているので、既存の有料老人ホームと同じです。ただし、サ高住は、有料老人ホームより申請が簡単で、国の政策なので建築費補助が出ます。サ高住として届出を出して、あとで有料老人ホームに変更するという確信犯的な事業者もいます。
「サ高住なので、お元気な方もどうぞ」と言われて、ある男性は、安いし、荷物も少ないし、3食食堂で食べられるし、これで十分だと決めたそうです。ところが、想像以上に狭いし、お風呂は部屋に無いし、食堂では介護度の重い方と一緒で、精神的にしんどいといったケースもありました。
■元気なうちに自分で決めるのが住み替えのコツ
ゆいま~る大曽根のようなところが、本来のサ高住でしょう。50㎡近くあるし、キッチンもお風呂も部屋にある。普通のマンションと変わりない暮らしです。介護が必要になったら、訪問介護に来てもらったり、デイサービスに行ったり、介護が必要になったから出なくてはいけないということはありません。
こういう本来の自立型のサ高住は少ないですし、あっても豪華で広さがある分とても高いのです。ゆいま~る大曽根は、既存団地をリノベーションしたサ高住だから、約50㎡の広さでもリーズナブルな家賃払いで入居できる。お元気な方の住み替えに薦められる物件です。
なぜ、元気な間に住み替えたほうがよいのでしょうか。介護が必要になってからでは、持ち家の処分、荷物の処分、引越し、新しい住居での暮らしに慣れる……とても難しいですよね。
ギリギリまで自宅でがんばって、どうしようもなくなったら住み替えるという人も多いけれど、そうなったら自分では選べません。子どもが選ぶことになります。子どもは、自分が通いやすいところ、安いところを選ぶもの。終のすみかは自分で見つけて自分で決めたいと思う方は、お元気なうちの住み替えをすすめます。
■続いて、弊社入居相談室長の渥美京子と米沢さんの対談へと続きました。
米沢 ゆいま~るは“介護が必要な方向け”でなく“超お金持ち向け”でもない対象を考えているということでしょうか。
渥美 そうです。“どこに住むのか”“誰と住むのか”“どのような暮らし方をするのか”人が生きていくうえで大事なことです。プライバシーの守られた空間があり、トイレ、風呂、食べることは最後まで守られるという尊厳。元気なうちに自分の意志で住みかえて、自分らしい最期を迎える生き方を見つけられる住まいづくりを考えています。
米沢 一般的にはお元気な方向けの有料老人ホームには付加価値(エントランスにシャンデリア、プール、ジムなど)がついて高くなっていますが、ゆいま~るはどうですか。
渥美 ゆいま~るは介護保険に頼らない方針でやってきました。費用をおさえるため、あるものを活用して、必要なものだけをそろえるという考え方です。皆さんからいただくのは、家賃と生活サポート費の11万円前後のみ。食費・光熱費など合わせて1ヶ月20万円前後で生活できる設定としました。介護が必要になった場合は、地域の介護事業(地域資源)を活用します。
米沢 最期まで見てくれるところが良いという声が多いです。ゆいま~るでは可能ですか?
渥美 “元気な時から最期まで暮らしていただきたい”という考えで進めてきました。大曽根では、介護が必要になっても住み続けられるように地域の介護事業所と連携しています。現在、3名が介護事業所のサービス利用をしています。デイケア・デイサービスに通いながらお一人で暮らしている方もいます。認知症になったらどうするかという質問も多いのですが、夜一人で過ごせるなら、生活は可能とお答えしています。徘徊があると厳しいし、小規模多機能、夜宿泊できるところ、近くのグループホームをおすすめするかもしれませんが、一緒に検討していきたいと思っています。
米沢 すぐに追い出されることはないのですね
渥美 はい、それはないです。
米沢 認知症でない時から入れば、認知症の進行を遅らせることも期待できそうですね。
渥美 なるべく健康寿命を延ばせるような暮らしづくりを一緒に考えていきたいです。
要介護の方で、他の老人ホームから移り住んでこられた方がいます。前のホームは狭くて自由がない、まるで籠の鳥だったとおっしゃいました。入居前は歩行が不安定だったのですが、入居後は雰囲気が変わって近くのラーメン屋さんまで歩いて行かれるようになりました。今は、鮎の友釣りをするのが夢だと話しておられます。お嬢さんが時々来られるのですが、「元気になった」「変わった」と喜んでいます。介護度が改善することもあるのではないかと思います。
米沢 介護が必要になった場合、どのような介護を受けたいか相談できますか。
渥美 入居時に、ライフプランを書いてもらいます。万が一不慮の事故や判断ができなくなった時どうするか、希望を書いてもらっています。それを元に、延命治療・葬儀・お墓など本人の希望に沿ったものを実現できるようにします。
米沢 最近は夫を自宅に残して先に入居される女性もいらっしゃるとか。
渥美 何人かいらっしゃいます。おつれあいより先に入って、地域とのコミュニティを作っておくわ、と話される方もいらっしゃいました。
米沢 そういうご夫婦も増えてくるのかもしれませんね。住まい方もどんどん変わっていくのかなと思います。入居者同士のコミュニケーションの場などはあるのでしょうか
渥美 入居者の方が「何かやりたい」と手を上げることで、サークルやコミュニティができています。絵手紙の会、麻雀の会、ハンドベルの会など。また地域の方も一緒にフロント前の花壇に花を植えたりということもあります。つかずはなれずのいい関係ができているようです。
質疑応答では、看取りについて、会社経営についてなど、多岐にわたり、大いに盛り上がり閉会しました。
(2018/06/11 ゆいま~るセミナー「サービス付き高齢者向け住宅とは~そもそも自立型のサ高住って何?」より)