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自分の老後は自分で守る 「おひとりさま」のための後見人 ~ゆいま~るセミナー ~


2020年1月17日、ゆいま~るステーションにて、「自分の老後は自分で守る 『おひとりさま』のための後見人」セミナーを開催しました。講師は、一般社団法人いきいきライフ協会名古屋の代表理事である朽木瑛浩さんです。手作りの資料から紙芝居まで用意してくださり、わかりやすく「元気なうちにやっておきたいこと」をお話ししてくださいました。質問も活発に出て、盛り上がったセミナーの様子をご紹介します。

1.いざというときに困らないように

私たちの法人は、法律家など協力機関と提携して、高齢者の方の身元保証をはじめ成年後見サポート、死後事務委任契約のサポートなど、様々なお手伝いをさせていただいております。今日は「おひとりさま」のための後見制度についてお話しますが、おひとりさまに限らず、今は自分で自分を守る時代です。お子さんがいても遠くに住んでいてすぐに動けない場合など、私たち法人へのご依頼も様々な方がいらっしゃいます。いざというときに困らないように、認知症など判断能力が低下しても自分が希望した通りに暮らしていけるように、後見制度について元気なうちに知っておきましょう。

2.成年後見制度

成年後見制度は、「認知症などで判断能力が不十分になった時にその人の代わりに本人の財産を守っていく制度」です。

成年後見人には、判断能力が不十分なときに家族などが家庭裁判所に申し立てを行い、選任された後見人が本人に代わって財産や権利を守り本人を法的に支援する「法定後見」と、将来判断能力が不十分になった時に備え元気なうちに契約する「任意後見」があります。具体的には、本人の代わりに預貯金の管理・解約、介護保険契約、不動産の処分などを行います。

ですが、成年後見人にはできることと、できないこととがあります。

〇 要介護認定の申請手続き
× 食事や排せつ介助などの生活支援
〇 施設入居契約
× 施設への身元保証の引き受け
〇 病院への入院手続き
× 入院時の身元保証の引き受け
× 医療行為の同意
× 遺言作成
〇 火葬・埋葬
× 葬儀

×のところを〇にしていかないと「安心した老後」は過ごせません。

3.任意後見制度

任意後見制度は、判断がつかなくなってからではなく、将来に備えて元気なうちに、「この人に後見人になってもらいたい」という人と予め後見人契約をする制度です。認知症などで判断ができなくなった時に、本人に代わって任意後見がスタートします。

任意後見制度の場合、後見監督人が必ずつきますが、法定後見の場合は、家庭裁判所が必要と認めた場合のみ後見監督人がつきます。これは、任意後見人が財産の横領などをしないように、後見人を監督する人のことで、おもに弁護士などの専門家がつくことが多いので安心です。

ですので、お元気なうちに任意後見人を決めておくことをお勧めします。家族でも、知り合いでも、われわれのような専門家や、弁護士、司法書士でもいいので、納得した人にお願いしていただきたいです。

4.後見人ができないことをクリアするには

先ほど後見人が「できること・できないこと」を見ていきましたが、×のところをクリアするにはどうすればよいでしょう。すべて〇になれば、安心の老後を過ごすことができます。

まずは、「生活支援」についてです。たとえば、体が不自由になっても、認知症でなく判断能力がある場合、後見制度はスタートしません。施設に入居すれば、身の回りのことはお願いできますが、そこの介護士でも「銀行に連れて行ってほしい」「外食に連れて行ってほしい」「お墓に連れて行ってほしい」というお願いには応えられません。おひとりの場合は特に、そのサポートを考えておく必要があります。

つぎに、「施設の身元保証人の就任」「入院時の身元保証人の就任」をどうするか。後見人は本人の代わりですから、本人を保証する身元保証人にはなれません。後見人とは別に、身元保証人も決めておく必要があります。連帯保証、緊急時の連絡、入院の付添、亡くなった後の身柄の引き取りなど、身元保証人は重要な事柄についてサポートする人として必要になります。緊急のこともありますので、24時間対応できる人を考えておかなければなりません。

さらに、「医療行為の同意」についてですが、この判断は本人しかできません。延命治療を希望するかしないかなど、お元気なうちに書類を作っておきましょう。きちんと自分の希望を記録し、さらに数年に一度は確認することが必要です。

「遺言作成」も本人しかできません。誰にどの財産を渡すのか、あらかじめ具体的に書き記すことで、親族の紛争も防げます。〇銀行の預金は妻に、□(住所)の土地は長男に、というようにです。法的効力があるものですが、そのためには正しい手続きが必要になります。

「葬儀」については、もちろん自分ではできませんから、死後事務委任契約をしておくのがいいです。自分が死んだあと、たとえばこんな葬儀をしたい、この人に連絡してもらいたいということから、火葬、納骨まで委任できます。他にも、亡くなった後、保険証や免許証を返却するとか、電気・ガス・水道の名義人を変更する、年金、保険の手続きや電話の解約……など、様々な手続きがあり、死後事務委任契約をしていない場合は、思わぬ人に迷惑をかける可能性があります。

以上、「自分の老後」を考えるとき、必要な人は、後見人、生活支援者、身元保証人、遺言執行者、死後事務委任が必要になります。身元保証人、遺言執行者、死後事務委任は同じ人でも大丈夫ですので、あとは後見人、生活支援者を決めておく。最低3人は必要になります。ここまで決めれば、全部〇になります。おひとりさまでも安心して老後を過ごすことができます。

最後に7つのまとめです。

(1) 後見人になってくれる人を探しておく
(2) 身元保証人になってくれる人を探しておく
(3) 認知症になる前に施設を探しておく
(4) 終末期医療について考え、書いておく
(5) 遺言書を作成する
(6) 希望する葬儀などを決める、事前に預託する
(7) 死後事務を頼める人を探しておく

※このあと、実際にあった例を紙芝居にして説明してくださいました。

5.続いて、会場からの質問に答えていただきました(抜粋)

質問 任意後見人をどう選んだらいいですか。
朽木 抽象的ですが、しっかりした方と契約する。会って話してみるしかないです。法人に頼む場合は、即契約するというよりは何度も話して、事務所や、そこで働く人たちも見て、判断するといいでしょう。

質問 法定後見人と任意後見人のちがいについて、もう少し知りたいです。
朽木 基本的に行うことは一緒ですが、法定後見人は本人に代わり全部の財産を管理、任意後見人は本人との契約で、一部だけの管理もできます。
報酬は、法定後見人の場合は財産等によりほぼ決まっています。任意後見人の場合は、いくらでお願いするか、自由に決められます。だいたい、法定後見人の場合の半分くらいで定めているところが多いように感じます。後見監督人がつきますが、それほど高くありません。

質問 「認知症」「判断能力が落ちた」という基準はあるんですか?
朽木  難しいのですが、医師の判断ですね。いきなり認知症になるわけではなく、徐々に進んでいくので、後見開始の時期は難しいです。本人と後見人とがギリギリお話できるか、否かというところで、後見をスタートするかどうかだと思います。

6.参加者からは、以下の感想をいただきました

「今から準備が必要ということを再認識しました」(69歳 女性)
「初めて知ることがあり勉強になりました。終活の大切さと大変さがよくわかりました」(66歳 女性)
「細かい点まで詳しく説明してもらって、かなりよくわかり、有難かったです」(77歳 男性)
「まだ先のことだと思っていましたが、できることからしていこうと思います」(67歳 女性)
「死後事務委任契約の大切さがわかった」(70歳 男性)
ほか、多くの感想をいただきました。

★今後も、「ゆいま~る」シリーズでは皆さんに役立つセミナーを開催していきますので、ぜひご参加ください。

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