「豊かなコミュニケーション」の中で味わう充実した暮らし
ゆいま~る那須に住み替えられて、1年5カ月の葛谷鍾太朗さん(78)。きっと時間を持て余すだろうと、大量に持参した本やビデオを未だ1本も観ていないと言います。理由は、「忙しくて部屋にいる時間がない」から。お母様とおつれあい様の介護を終え、自分時間を目いっぱい充実させていらっしゃる暮らしについて、お伺いしました。
――ゆいま~る那須にいらっしゃる前のお暮らしについてお聞かせいただけますか。
「神奈川県相模原市に40年間暮らしていました。人生の半分以上が相模原在住でした。
57歳の時早期退職したのですが、ちょうどそのころ母親が病気で倒れて、在宅介護に入りました。そのあと妻も具合が悪くなりまして、結局、母親は3年、妻は15年ほど面倒を見ていました。
介護生活を送りながら、空いた時間はボランティアで地域の高齢者にパソコンを教えていました。17~18年続けていたと思います」
――高齢者住宅への住み替えを考えたきっかけを教えてください。
「いずれはそういう所へ入るのではないか、という意識はありました。妻が他界したのと同じタイミングで、長男、長女それぞれが自分の家を購入。相模原の家で一人で留守番をしている意味がなくなったわけです。
そんな時、パソコン講習会で、パソコン使ってエンディングノートを作ろうということで資料集めをしていたのですが、たまたま高齢者住宅をテーマに考えることになりました。サービス付き高齢者向け住宅という言葉も初めて知りまして、調べているうちに、ゆいま~る那須のサイトに行き当たりました。『変わっている名前だな』と思い、気になって、住んでいる方のブログを読ませていただき興味持ち、資料請求しました。
資料が届いたころ、スタッフの方から連絡があり、『見学に来る方がいるからいっしょにどうですか』と誘われて、見に行ったのです」
――他の高齢者住宅は見に行かれたのですか。
「見学はしませんでしたが、検討はしました。もし自分が入るなら、どんな条件がいいのかを念頭に置いて探しました」
――ゆいま~る那須に決められた理由は何でしたか?
「私は、生まれは東京で、70年以上ずっと生活に便利なところに住んでいました。これからは、できるだけビルを目にしないですむ、自動車の音をあまり聞かないですむ、そういうところに住みたいと思ったのです。
もう一つは、広さです。一般的に高齢者住宅は狭い。20㎡くらいのところが多いです。ところが、ここは40㎡ある。広くて気に入りました。あとは、年金で生活できるかどうかです。
環境の問題と設備の問題、この二つをテーマに検討してきましたが、二つとも私の条件に合っていてクリアしたので、見学した日に決めてしまいました。
何かを決める場合、相対的に判断する人と、絶対的に判断する人とがいます。私は、自分の条件に合うかどうかを見て決める絶対評価タイプ。相対評価だと、この部分はあっちがいいけど、この部分はこっちがいい、というように迷ってしまい、なかなか決まらないからです。自分に必要な条件だけを見て、他はどこもあまり変わりないだろうという判断の仕方です」
――ゆいま~る那須に住み替えて、お暮らしはいかがでしょうか。
「ここに来て非常に良かった。正解でした。
入居者の皆さんからいろいろと声をかけていただいて、頼まれたり頼んだりという関係ができ、すごくコミュニケーションのよいサ高住だと思っています。
ゆいま~る食堂では、週末に地域の人も来られる居酒屋(現在はコロナ禍でお休み中)を開いていて、そこで地域の人との交流も広がりました。
近所に朝日小学校という廃校があるのですが、ゆいま~る那須の方がそこを拠点に様々な活動をしています。私もそこでパソコン指導をしたりして、那須町に住んでいる方々とも交流でき、コミュニケーションがまち全体に広がりました。
パソコン指導では、別荘地のシニアの方もいらっしゃって、食事に誘われたり、温泉に誘われたり、とても忙しく過ごしています。
正直、部屋にいる時間がないくらいです。ここに来たら、時間を持て余すだろうと思って、本を読んだりビデオを見たりしようと、山のように持ってきたのですが、じつは、1本も見ていないのです」
――1日はどのように過ごされているのですか。
「5時前後に起きて、ネットでメールチェック、ニュース読んだりします。6時くらいからラジオ体操など軽い運動をして、6時半過ぎに食事の準備。7時には食事が終わる感じですね。その後は、その日のスケジュールで動きます。
週2回は、車を30分運転してスポーツジムに行っています。それ以外に、週2日、朝日小で作ったお弁当を一人暮らしの高齢者のお宅へ届けることをしています。午前中いっぱいかかります。
あとは、高齢者の病院の付き添いとか、遠くまで買い物に行きたいので付き合ってくださいとか、いろいろなことを頼まれています。
忙しい毎日で、夜9時、10時には眠くなってしまって、ぐっすりです」
――現役と変わらない忙しさで、充実したお暮らしですね! 気を付けていることはありますか。
「健康であること、ケガをしないことです。じつは、足が悪く、ふらつきがあり、要介護認定を受けています。かがんでする作業ができないので、ハウスキーパーに週1回来てもらって、浴室やトイレ掃除などをお願いしています。ジムに行って、悪くならないように気を付けています。
食事も自炊を心掛けていますが、ゆいま~る食堂にも夕食は週4日利用しています。同じ敷地内にあって便利だし、とってもおいしいんですよ。
ゆいま~る那須の方はみんな朝が早くて、4時、5時から、庭の植木に水やりをするなど活動的なので、そういう姿を見て刺激を受けています」
――自立生活をうまく保っていらっしゃると感じます。今はコロナ禍で難しいかもしれませんが、今後やってみたいことはありますか。
「県外を出ることが出来ない状況なので、コロナが落ち着いたら旅行したいです。
年に1回は海外へ、それ以外は年に10回程度国内旅行をしていたくらい旅行好きなんです」
――旅行ができないのは残念ですが、那須は環境に恵まれているのでいいですね。
「今は5月ですから、一番よいシーズンです。すごく素晴らしい。お弁当の配達で那須の高原を走るんですが、仕事をしている感じではない。快適な高原ドライブです」
――うらやましい住環境です。先ほどの、高齢者住宅を決めるコツについてお話しいただきましたが、他にも何かあれば教えてください。
「そうですね。自分は、先ほどお話したように、相対評価は迷うので、自分の条件を決めて絶対評価で決めるのが良いと思います。
あと、ここにきて思ったのは、ほとんどの方が何らかの卒業をしているということ。介護を卒業している、母親を卒業している、主婦を卒業している……いろんな形で卒業してきた人たちなんです。
ここでは、朝起きてから1日、自分のために自由に使える時間がある。だから、積極的に、前向きに生活できる方がゆいま~る那須には合っていると思います。自分の身の回りのことができないとか、奥さんが風邪をひいて寝込んでいるのに、『俺の晩飯はどうするんだ』という人は、ここでは生活できないかなあと思います」
とても引退後とは思えないほど充実した暮らしぶりの葛谷さん。ゆいま~る那須には作家の久田恵さんも居住者の一人ですが、「原っぱプロジェクト」という小さなコミュニティをはじめられ、そこにもゆいま~る那須以外の方が集まってくるそうです。今はコロナ禍でなかなか集まれない時期ですが、地域も巻き込んでのコミュニケーションづくりが魅力だとおっしゃいます。これからもお体に気を付けながら、那須での暮らしを満喫していただきたいと思います。
(2021/05/16 インタビュー)