ゆいま~る花の木 暮らす人びとの声

脳、からだ、手先を使って、楽しんでいます


マスクの下の笑顔が想像できるような、終始にこやかに受け答えしてくださった水野紀子さん(81)。毎日買い物や散歩をかかさず、好きな「手仕事」を楽しみ、自分らしい暮らしを謳歌しています。ゆいま~る花の木にいらっしゃる前と現在のお暮らしについて伺いました。

水野さん(2021年10月入居)と飼い猫のみーちゃん 。1階の居室では、ペットと一緒に暮らすことができます

 

■秩父で1人暮らしを決めるまで

 ――ゆいま~る花の木にいらっしゃる前についてお聞かせください。

「娘家族と一緒に、都内に住んでいました。娘夫婦、孫2人と私です。
でも、そこに住んでいたのは、ゆいま~る花の木に来る前の1年間だけで、それまでは東京近郊の県に17年ほど住んでいました。その前は、やはり都内で、57歳まで同じ区内に住んでいました。だから、再び都内で暮らし始めたときは故郷に帰ってきた感じでしたね。
夫が亡くなって1年くらい経った時、娘夫婦がたまたま都内に家を購入し、『部屋もあるから一緒に暮らさない?』って言ってくれたのです。私も、これから1人でどうなるかわからないし、娘が声をかけてくれたのを機に一緒に暮らすことにしました」

――東京近郊の県では、ご主人と2人で住まわれていたのでしょうか。

「そうです。主人が定年になり、私は田舎暮らしが憧れでした。今後の住まいを考えた時、主人は『どこでもいいよ』と言ってくれたので、私が好きな山や川があるところを探して暮らすことにしました」

 ――充実したお暮らしだったのですか。

「はい。東京では団地やマンション住まいで、土いじりができず、植木鉢で花を育てて楽しんでいたくらいでした。そこでは、いくらでも土地は余っていて貸してくれるんです。家は広くて、いくら花を植えても有り余るほどでした。
でも、主人が亡くなり、娘が声をかけてくれた。親を呼んでくれる子どもはなかなかいるものではないし、『あの時呼んだのに来なかったんだから知らない!』なんて言われたら困るな(笑)、と心細さもあって来たんです」

 ■まだ元気だし、もっと楽しみたい

 ――生まれ育ったところに戻ってきたのですね。

「娘の家は、私が育ったところと近かったものですから、安心してきたんです。でも、昔とはずいぶん変わっていました。高層マンションだらけ、知らない人だらけになっていたのです。家族以外にお話しする相手もいない。一戸建ても多いのですが、マンションも多く人口密度が高いと感じました。若い現役世代の人たちがお勤めで朝出て行ってしまうとあとはしんとしてしまう。高齢者もいるけれど、外に出てこない感じでした」

 ――それは寂しいですよね。

「娘家族は気を遣ってくれて優しくしてくれるんです。お婿さんも私が作った煮物を『すごい、おいしい』と食べてくれたり、お茶を入れたら『入れ方が上手ですね』と言って、私が慣れるようにしてくれました。まったく不満はないのですが、私も身体は丈夫だし、持て余すというか、ここにじっとしているのが苦痛になってきたのです。このまま長生きして10年、ずっとここにいるというのがもったいないような、もっと何かしたいという感じがしてきました」

 ――お元気だから、よけい家の中にポツンといる、というのが苦痛だったのかもしれませんね。

「元気なので、家事もしていました。朝は、お婿さんが出勤する時間に合わせてお味噌汁を作ったり、現役世代に合わせた生活スケジュールでした。家事自体はいいのですが、娘家族に合わせた生活時間が自分に合わなくなってきたなというのもあります。
娘も家にいましたので、主婦が2人いる感じで、何かもったいないという気持ちになってきました。離れているときは心配して1カ月に1度来てくれてあれこれ話したけれど、毎日一緒にいるとそれほど話すことも無いし、お互いに時間がもったいないなと思うようになりました」

――生活リズムは年代により異なるので、仲良し親子でも気を遣いますよね。

「仲が良くても、どうしてもそうなりますね」

 ――それで1人暮らしを考えられたのでしょうか。

「いろいろ考えた結果、離れて暮らした方がいいと決めたのです。ですが、それを娘家族にどう話したらいいか悩みました。嫌で出ていくのではないし、よくしてもらっているのにと。だけど、正直な気持ちを伝えるのが一番だと思い、『私はこう生きていきたい。まだ元気だし、やれることをやりたい、好きなように生きたい』と伝えたところ、『わかった』と言ってくれました」

 ――理解のある娘さんご家族ですね。仲はいいけれど、自分らしい暮らしをしたいという水野さんのお気持ちを理解してくださったのですね。

「感謝しています。健康にも恵まれていたので願いが叶ったのです。調子が悪ければそうはいかなかったのですから」

■こじんまりした外観に惹かれて

 ――ゆいま~る花の木知ったきっかけは何でしょう。

「スマホで老人ホームを検索して見つけました。1人暮らしと言っても、その時80歳だったので、一般の住宅で受け入れてくれるところはなかなかありませんよね。そこで老人ホームを検索したら、『ゆいま~る』が出てきたのです。
ゆいま~る花の木の建物を見たとたん、2階建てのこじんまりした感じが一目で気に入りました。このくらいの規模の建物であることがまず気に入ったのです」

――周りの環境も落ち着いていて、いいですしね。

「じつは、もっと田舎だと思っていたのです。畑や林もあると思ったら、住宅地の真ん中にあるのでびっくりしました」

 ――秩父と言えば観光地で有名ですが、ゆいま~る花の木は駅から徒歩15分ほどのところにあるので、たしかに住宅地かもしれませんね。ほかの高齢者住宅は見学されたのですか。

「見ていないです。パンフレットは2~3カ所取り寄せましたが、やはりここが良かった。前に住んでいたところは池袋に近かったのですが、秩父からも電車で1本で池袋に出られるのも気に入りました。遠いようだけれど近いというか、安心感がありました」

■散歩、手仕事、庭いじり

 ――今は、どのようなお暮らしですか。

「朝起きるのは5時前後。猫がいるので起こされるんですよ。ごはんちょうだいって(笑)。でも、私は朝の始動が遅いので、ちょうどいいかもしれません。隣にある花の木交流センターで10時半のラジオ体操に参加するのですが、それまでに家事を終えるというのがちょうどいいペースなんです。
朝のラジオ体操が1日の生活時間の軸になっていて、体操が終わって11時から12時までは買い物か、40分くらい散歩。それから食事をして、午後は自分の好きなことをします。手仕事が好きで、それに専念しています」

お部屋には手作りの品であふれています

――お散歩コースはあるのですか。

「たくさんあります。自分の体調に合わせて、途中から帰るコースとか、もう少し歩きたいときは延長して歩くコースとか、自分なりのコースがあります。住宅地の中なので安全だし、このあたりは一戸建てが多いので、お庭のお花を見ながら、楽しんでウォーキングできます。あっちに行ったりこっちに行ったり、この道はまだ通ってないわ、とか」

――お花がきれいな季節はいいですね。お買い物はどこに行かれるのですか。

「歩いて20分くらいのところにあるスーパーに行きます。東京にいるころは、2~3分も行けば選べるくらいスーパーがありました。歩くことはほとんどなかったですね。
ところが、秩父に来てから本当に歩くようになりました。スーパーまで20分歩くのはたいへんだと思っていたのですが、そのスーパーが一番安いし毎日の食品を購入するのは便利なので、必要に応じて行くようになったら、足が慣れてきてあっという間に慣れました。散歩も日常的にしていたら、40分~1時間くらいは歩けるようになったのです」

――手仕事がお好きということでしたが、どのような手仕事ですか。

「パッチワークをしたり、簡単なブラウスを作ったり、編み物も大好きです。編み物をしながら、次は何を作ろうかなと考えるのが楽しみです」

手作り品の一例。色合いも素敵!!

 ――手先の趣味以外に、お庭も作られているとか。

「1階なので小さな専用庭があります。ちょうどいい大きさで気に入っています。主人と住んでいた家は大きなお庭でしたが、草むしりをするのも大変になりましたし、カーテンを開けてお花が見える、というくらいの手ごろさがちょうどよく、満足しています」

窓を開ければ小さな庭。きれいに整理されています 。1階の居室はミニ庭園付です

 ――じつに充実したお暮らしぶりです。

「こういう暮らしを目標にしていたというか、人生の最後にこういう時間をもらえたのだから、好きなことをしようと思っています」

 ■脳も体も手先も使って、元気を保つ

 ――日々の暮らしで気を付けていることはありますか。歩くことは日課になっているようですが。

「たまには歩きすぎて足が痛くなる時もありますが、大変なことは健康につながっていると思って続けていたら、習慣になり、足も丈夫になっていい結果につながりました」

――歩くことによって元気になるし、いい景色も見られて、いい空気も吸って気持ちも楽しくなりますね。ほかにはありますか。

「基本は、体調管理ですね。老化で声が出にくくなっているのがわかるので、声を出して新聞を読む、歌を歌うなど、のどを鍛えています。ゆいま~る花の木でも、月2回、『懐かしい歌を歌おう』という会を行っていますが、それにも参加しています。
あとは、読み書きそろばんではないけれど、本を読んだり、新聞のコラム欄を読んだり写したりしています。家計簿もつけるようにしています。入るものは限られているので管理しないと。出過ぎると困りますから(笑)」

 ――頭も体も手先も使われて、1日1日をきちんと暮らされている様子か伝わってきて、お手本にしたいです。

「毎日、自分のことだけをしっかりやっています」

 ――お若くてお元気で何よりです。悪いところはないのですか。

「自然な老化以外はないですね」

 ――これからやってみたいことはありますか。

「秩父市の広報で、市の鳥がおおるりと知り、見てみたいと思っています。市のおおるりを観察する会がありましたが、6時間コースだったので、少し難しいと思い申し込みませんでした。でも、市の鳥だから、いつか探して出会いたいなあと思っています。
散歩をしていて、何種類か鳥を見ることがあって、名前を知っている鳥を見つけると、1日とても幸せな気分になります」

――鳥の名前を知っていらっしゃるとは、すごいですね。

「たくさんは知りませんが、バードカービング(野鳥彫刻。木片から鳥を彫り出して彩色する)の先生に少し教わったことがあるのです。大きいものは無理ですけれど、ブローチとかいくつか作った経験があって、そのおかげで、野鳥の会や鳥の話しに刺激を受けたんです」

 ――新しいことにチャレンジしていくのは素晴らしいです。おおるりに会えるといいですね。

 ■「隣のうち」ではなく「隣の部屋」という感じ

 ――最後に、住み替えを考えている方へアドバイスをお願いします。

「私の体験でしかないですけれど、いろいろな条件がある中でゆいま~る花の木に決めたということは、同じような思いの人たちの集合でもあるわけです。なので、親近感があります。ひとつの船に乗った乗客のような感じです。お隣のうちというより、お隣の部屋というイメージです。夜になるとスタッフはいないけれど、お隣には顔見知りの人たちがいるというのがすごく安心感があります」

 ――自分と共通な思いで選んだ人たちが暮らしている、大きなおうちのイメージでしょうか。自分で選ぶことが大事なのですね。

「そう思います」

年齢よりもずっとお若く見える水野さん。お元気なまま、これからも秩父で健康寿命を延ばしていただけるよう、スタッフ一同お手伝いしていきたいと思います。(2022/5/6 インタビュー)

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