ゆいま~る聖ヶ丘 暮らす人々の声

新しいことは「面白い」、失敗しても「楽しい」――80代の素敵な生き方


ゆいま~るで暮らされている方は総じて実年齢より若く見えますが、齋藤紀子(みちこ)さんも80代には見えない若々しさ。ゆいま~る聖ヶ丘に住み替えて10年が過ぎてなお、さまざまなことにチャレンジし続けていらっしゃいます。圧倒される多才さとパワーに触れ、スタッフが元気をいただくことも多いです。齋藤さんの考え方、生き方とともに、日々のお暮らしの様子をご紹介します。

ベランダで花や果実を育てている齋藤さん(82)。ブルーベリーを収穫して楽しんでいます

 

■充実した暮らしから、住み替えを早めた理由■

――ゆいま~る聖ヶ丘に住み替える前についてお聞かせください。
首都圏のマンションに猫の「モネ」と住んでいました。通勤に便利で見晴らしもよく、70㎡超あるマンションで、20年間暮らしていました。

――齋藤さんはずっとお仕事を続けてこられたとのことですが、当時は女性では珍しかったのではないですか。
メーカーに勤務していた21歳のころ、肺を患いまして1年半入院・療養し、この間休職しました。当時は「もう終わりだ」という心境で、独身でいようと決意しました。それで、将来に向けて自立した生活を得るため、自宅購入を計画したのです。
まず、30代でワンルームマンションを現金購入し、賃貸物件として家賃収入を得てせっせと貯蓄に励み、40代で自宅マンションを手に入れました。好きな家具をそろえたりして、うれしかったですね。
ただ、手狭に感じるようになり、マンションを売却して新たにローンを組み通勤に便利な広いマンションを購入、ゆいま~る聖ヶ丘に住み替えるまで住んでいました。

――ゆいま~る聖ヶ丘に来られたきっかけは何だったのでしょうか。
2011年の東日本大震災で1人暮らしが不安になりました。加えて、じつは、30代、60代にも病気をしたので、高齢者住宅への住み替えを早めたほうが良いと思ったのです。「高齢者住宅の選び方」などのセミナーを受け、施設を見学してみましたが、納得できるところがありません。猫と暮らせる高齢者住宅を探しましたが、高額であったり、1階に限定されていたりと、ネットで探してもなかなか見つからなかったのです。

――どのようにしてゆいま~る聖ヶ丘を知りましたか。
新聞の折り込みチラシです。一応保管しておいたのですが、友人から「ペット可のチラシが入っていたわね」と言われて、もう一度よく見てみました。
「聖ヶ丘」の場所もわからなかったのですが、見学に行ったら当時のマンションから案外近くて、しかも間取り、日当たり、風通しもよく、広さもそこそこある。その時、お部屋を見せてくださった入居者がいらして、素敵な家具やスッキリした室内に惹かれ、「こんなふうに暮らせるのならいいなあ」と思ったのです。
建物も緑多い街路樹の遊歩道沿いにあり、郵便局、図書館もほぼ目の前です。とても便利で、これまで使用していなかったゆうちょ銀行のATMを使用するようになりました。

――20年暮らしたマンションからの引っ越しは大変だったのでは。
売却に苦労しました。東日本大震災、バブル崩壊、リーマンショックで、マンションの価格が大幅に値下がったからです。心身ともに疲れ、体重が5キロ減りました。今の年齢ならばとてもできないでしょう。この時に決断してよかったです。

 

■ボランティア、ウォーキング、書道、株取引きも■

――住み替えての感想はいかがでしたか。
多摩市はとてもボランティアに力を入れていて、様々な講座なども多いと感じました。私は、多摩市福祉協議会で「傾聴ボランティア養成講座」を受講し修了、続けて民間の通信教育を受講し「高齢者傾聴スペシャリスト」の資格を取得しました。さらに、日本ケアフィット共育機構の検定試験に合格し、「認知症介助士」の資格も取得しました。勉強好き、試験好きなんです。
社会や人とのつながりは大事ですし、何かお役に立ちたいと、ゆいま~る聖ヶ丘敷地内にある小規模多機能施設「かりん」で、月3~4回、傾聴ボランティアをしていました。4~5人ずつのテーブルをそれぞれ回り、お話を聞きます。同世代ならではの話が弾み、2時間のところ時間オーバーすることもありました。今はコロナ禍で休止ですが、たまに担当の方に会うと「またお願いします」と言ってくださいます。
こちらも80代になりましたので、コロナが落ち着くころにはどうなるかわかりませんが、学んだことは自分に役立ち、これからも生きる自信につながっていくと思っています。

――勉強熱心な齋藤さんですが、趣味もたくさんお持ちだと伺いました。
まずはウォーキングです。ゆいま~る聖ヶ丘の前の遊歩道の欅(けやき)、銀杏(いちょう)、金木犀(きんもくせい)、躑躅(つつじ)など四季折々美しいですし、遊歩道の先には「都立桜ヶ丘公園」があります。聖ヶ丘全体が公園の中にあるような感じです。
公園内を知るために、多摩市主催の「自然観察会」に月1回参加し、半年間続けて、樹木、野草、野鳥について知識を得ました。これまで仕事ばかりだったので、新しいことを知るのがとても面白いのです。このようなお知らせが掲載されている多摩市の『広報』は欠かさず読んでいます。

公園で出会ったウサギ。ニンジンなどしばらく餌をあげていたそうです

――公園内にお気に入りの場所があるそうですね。
「ゆうひの丘」です。一段と高い場所にあり、眼下に多摩川、府中市内、遠くに西武ドーム、丹沢連峰、富士山も望めます。また、約70年前に遠足で来た「旧多摩聖蹟記念館」を見つけたときは驚きました。すぐに、同級生のLINE仲間(男性2名、女性3名)に写真を送りました。聖ヶ丘に来ることが運命のように感じられて、桜ヶ丘公園は大切な場所、私にとっての聖地になっています。
昨秋、公園で百名山を踏破したという方と親しくなりました。私に合わせて山歩きのコース選びをしてくださり、高尾山、よこやまの道、小山田緑地なども歩きました。

ゆうひの丘。お気に入りの場所で「祈り」をささげるのが日課です
富士山はじめ、山々が見晴らせます

――体を動かすことが好きなのですね。
徒歩1~2分のところにある多摩市コミュニティーセンターひじり館で、週1回「元気アップ体操」があり、参加しています。指導者が素晴らしく、筋肉がほぐれてとても心地よくなります。休憩をはさみながら1時間ちょっと行います。50名くらい参加されていて人気です。
ゆいま~る聖ヶ丘では「書道を楽しむ会」があり、先生のお手本を見ながら書いています。私は、日本伝統の装飾的な綴じ方「和綴じ」が好きで、書いた書を千代紙で表紙を作り綴じています。面白いし美しいので、表紙づくりや和綴じをしたくて、せっせと書を書いています。今年は『奥の細道』を書く予定です。

趣ある千代紙を表紙に、「和綴じ」で冊子を作っています。四ツ目綴じ、康煕綴じなど、いろいろな綴じ方を本で学んだそうです
中には齋藤さんが書かれた書
達筆で書かれた「小倉百人一首」

――いろいろと本格的で驚きました。机の上にパソコンがありますが、Word、Excelもマスターされたのですか?
パソコンの基礎を習いたいと「寿大学パソコン講座」に通いましたが、基礎講座ではなくレベルアップ講座を受講してしまって…。ただ、講師の教え方がとてもわかりやすく、週2回通って覚えました。年のことは考えずに、ついていけるものにはついていきたい、そんな気持ちです。

――パソコン上の画面は、「株」ですか。 ネット証券で取引しています。今はネットで、売買、会社四季報、決算内容、株式チャートなど閲覧可能です。世の中の変化をキャッチするため、「ヤフーマネー」「日経マネー」、新聞等に目を通しています。外出先でもスマホで確認でき、取引もできます。儲けるのではなく、脳を活性化させるために役立てています。
株式投資のきっかけは、会社に勤務していた頃の持ち株制度です。コツコツと貯めて、はじめて株式証書を手にした時はうれしくて、それが原点になっています。

パソコン画面には株価チャートが…!!

――体も頭もフル回転で、とても高齢者の暮らしとは思えません。
自分としては、広く浅くだと思っていますが、いろいろな講座があるボランティアの盛んな多摩市が合っていたのだと思います。人生の終わりとして入居したのですが、ここからまた新しい人生が始まったみたいです。
インターネットがすぐに使える環境もありがたかった。今はネットで知りたいことが何でもすぐに調べられます。

■時代の変化にもついてきたい。新しいことは面白い■

――今はどのような1日を過ごしていらっしゃいますか。
6時半から7時くらいに起床し、血圧、血中酸素飽和度、体重測定をし、スマホにデータ登録しています。洗濯などの家事、朝食、新聞読みと、ベランダで花や果樹も育てているので水やりです。
9時にパソコンで株式市場の値動きをチェック。その後、午前中は2時間くらい公園をウォーキングします。

――血中酸素飽和度を計るとは、パルスオキシメーターを持っていらっしゃるの
ですか。
30代、60代の入院経験から、自然とコロナ流行前から持っていました。100とか、98とか問題ない数値を保っています。

――午後からの過ごし方は?
その日によって違いますね。書道、読書、ネット検索、LINEチェック、掃除などです。16時以降に株式市場終了後のチェックをして、夕食。入浴、テレビ鑑賞後、23時ごろ就寝です。

――就寝時刻が遅いですね。
ニュースを見るのが好きなので、ニュースを見終わってから寝ています。

――お食事は自炊ですか?
3食自炊です。高齢になると、皆さん1食とか2食とおっしゃるけれど、私は3食いただいています。ただし、このごろは朝食のお米は止めています。玄米にしていたのですが、野菜中心に変えました。昼は、パン、卵、チーズ、コーヒー。夜は、主菜は魚と肉と交代で摂るようにしています。肉は、鶏むね肉など、タンパク質を意識しています。
料理は得意でなく、レパートリーも少なく、レシピを見ながらでないと作れませんが、3時間くらいかけて、作って食べて片付けています。洗った食器が出ているのが嫌なので、しまうところまでだとそのくらいかかってしまうのです。

――齋藤さんが暮らしの中で工夫していることは何でしょう。
老いても自立した生活を続けること。そのためには、謙虚に1日1日を丁寧に生きるよう心がけています。コロナ禍でボランティアができない状況ですが、遊歩道での落ち葉掃きなど、出来る範囲で続けて行こうと思っています。
また、時代の変化にもできる限りついていきたいと思います。

――とても素敵な心がけだと思います。新しいものにも臆せず関わっていく、というのもすばらしいです。
流行がどうなっているのか知りたくて、都心にも出るようにしています。お気に入りの「泉屋博古館東京」(六本木)、「松岡美術館」(白金)は、都心にありながら静かな環境にあり、私が大好きなモネなど印象派の展示もたまに行うので、出かけます(ちなみに、猫の名前は画家の「モネ」から取ったのです)。
また、きれいな舞台を見てみたくて、歌舞伎座、サントリーホールなどにも出かけています。昨年末には、妹たちと銀座に食事に行きました。昔と違って、ベビーカーのママさんが歩いていたりして、時代の変化を感じました。

――住み替えを考えている方にアドバイスがあればお願いします。
住み替えを早めてよかったです。引っ越しもそうですが、新しい環境に慣れるのは早い方がいいからです。オートロック、床暖房、インターホンでの開錠など、ちょっとしたことが高齢になるほど難しくなってきます。
高齢者住宅の広告もたくさん入ってくるでしょうが、自分が一番に望むことは何か、ハード面、ソフト面、費用などを決めて、見学するのが良いと思います。私はペット可が大きい要素でしたが、環境も建物も期待以上で満足しています。
また、スタッフの方もいろいろな入居者に、しっかりと対応してくれてありがたいです。私も入院中、猫の面倒をみていただき助かりました(※)。また、パソコンがウイルスに感染したかもしれないという時も、ていねいに対応してくださって事なきを得ました。
※有料サービス/1回15分415円(水・餌やり、様子報告)。但しスタッフがお世話可能な場合のみ。

――これから楽しみにしていることはありますか。
来年も、春に香りの好きな栴檀(せんだん)の花、合歓(ねむ)の木に会えるといいなと思っています。
新しいことは、とりあえずやってみることですね。面白いし、失敗しても楽しいですから。与えられた命を大切に、この日限りというつもりで生きていきたいと思っています。

事前に取材メモをWordで作成してくださったり、スマホで撮影したゆうひの丘の写真をメールで送ってくださったりと、まるで仕事のようにきびきびとやり取りしてくださった齋藤さん。年齢にとらわれず、新しいことにチャレンジしていく精神が若さにつながっているのだと強く感じました。どんなことでも、「楽しい」「面白い」に還元できる齋藤さんを見習って、スタッフも頑張っていきたいと思います。(2023年1月10日インタビュー)

桜のころの「ゆうひの丘」

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2023年01月24日

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