ステーション
ハウス長が事例で語ります「サービス付き高齢者向け住宅」の安心とは?
「サービス付き高齢者向け住宅」での暮らしは、どんなものなのでしょうか? 安否確認や見守り、緊急時の対応がある暮らしとは、どんな暮らしなのでしょうか? 初めて知る人には、資料を読んでも、なかなか実感をもって伝わりにくいかもしれません。
2020年6月19日(金)10:30~11:30、高齢者住宅案内所ゆいま~るステーション名古屋(金山)で、入居検討者に少人数で知りたいことをお話しする「ゆいま~るカフェ」が開催されました。
今回は、当日の内容から、「ゆいま~る神南」ハウス長の沖田美代が語る「サービス付き高齢者向け住宅」の暮らしをご紹介します。
以下、質問にお答えするかたちで、実際にハウスであった具体的な事例を挙げながら、沖田ハウス長がお話しします。
Q1:新型コロナウイルス対策で、「ゆいま~る神南」では、どういうことに気をつけていましたか?
「緊急事態宣言」が出て、一番警戒していた時期、ハウススタッフは、以下のことを徹底していました。
□出勤前の検温
□公共交通機関で出勤したら、フロントに入ってすぐ必ず手洗い、うがいを徹底
□業務中はマスクを着用
□フロント、コミュニティスペース、皆さんの手が触れるところは、毎日消毒を行う
※以上は、いずれも解除後も続けています。
また、感染状況が日々変わる中で、入居者には折をみて「感染予防を意識して気をつけましょう」というお知らせを配布していました。
Q2:新型コロナウイルス感染拡大中、「ゆいま~る神南」の入居者は、どのようにすごされていましたか?
皆さん、不要不急の外出は控えていたようです。日頃活発な方も、自宅で過ごすことをこころがけていらっしゃいました。
ただそうすると、私たちが日常の中でお顔を拝見する機会も少なくなるのがジレンマです。
あまり顔を合わせない方には、時折お電話を入れていました。コロナの話をあえてすることはしませんが、声の様子やしゃべり口調が、これまでと変わりないかなどに気をつけつつ、様子うかがいをしていました。
おかげさまで、体調不良になられた方もなく、皆さんお元気に過ごしていらっしゃいます。
Q3:「サービス付き高齢者向け住宅」のサービスにある「安否確認」や「緊急時の対応」では、実際どんなことをしてもらえるのでしょうか?
安否確認
基本的に、「木札」を使って、毎日安否確認を行っています。
入居された方には、名前と部屋番号が記された木札をお渡しします。これを、毎朝10時までに、1階のフロントにお持ちいただいています。手渡しの代わりに「木札専用ポスト」に入れていただいても構いません。
毎朝10時になったら、私たちハウススタッフが、渡された木札をチェックします。木札が出ていたら、安心して、確認はそれで終わりです。
木札が出ていなかった場合は、まずお電話をさしあげます。「木札を出すのを忘れちゃった」という場合もありますので。
お電話もつながらない場合は、お部屋にうかがいます。
この時は、必ずハウススタッフふたりでお部屋にうかがいます。
必ず持参することにしているセットには、使い捨て手袋や、血圧測定器、パルスオキシメータなど、何かあったときに対応するためのものが揃っています。
インターホンを鳴らして、反応がない場合に限り、入室させていただいています。
緊急時の対応
入室させていただいたあとは、状況に応じて対応します。
たとえば、お部屋に入った時、必要であれば救急車の手配を行います。そのときに、血圧を測ったり、どのくらい酸素が血液中にとりこまれているかを測ったりします。そして、その数値を救急隊員に伝えます。もうひとりのハウススタッフは、声をかけるなど本人の対応を行います。
緊急時の安心サポート その1「ペンダント型マイドクター」
【事例1】
入居者Aさん(女性、70代)の木札が出ていなかったため、お部屋にうかがいました。インターホンにも反応がないので、スタッフ2名で部屋に入ったところ、すでにセコムが来たあとのようで、セコムの訪問票が机の上に乗っていて、Aさんはいらっしゃいませんでした。
後で聞いたのですが、Aさんは、朝目覚めたら、腰に強い痛みがあって、起き上がることができなかったのだそうです。
「ゆいま~る神南」に入居されると、各お部屋ごとに、「ペンダント型マイドクター」という、首からかけられる通報装置をお渡ししています。黄色いスイッチを軽く押すと、セコムの統括に通報がいくようになっています。
ベッドで動けなかったAさんがこれを押したところ、セコムの隊員がすみやかにお部屋に駆けつけて、すぐさま救急車の手配をしてくださったそうです。
私たちは、部屋に入ったあとにセコムに確認をとり、どこの病院に搬送されたかなどの状況を確認して、ご家族の方にも連絡をしました。
セコムは、居室に勝手に入ってくるのではなく、「緊急時には駆けつける」という契約のもとに入室しています。入居時に契約を行って、居室のカギをセコムにも渡しています。
入居する皆さんには、最初に緊急時の対応についてご説明しています。Aさんにも、「就寝時には、枕元に『ペンダント型マイドクター』を置いておくといいですよ、ということをお話ししていました。それで、ベッドで具合が悪くなったときに、すぐ押すことができたのです。
おひとり暮らしで、入居して間もなくのことでした。Aさんも、「ここに引っ越してきたあとでよかったわ。引っ越す前だったら、電話も遠くだし、どうなっていたか」とおっしゃっていました。まだまだお元気ですから、そんな心配はそれまでなさっていなかったようです。
緊急時の安心サポート その2「空間センサー」
セコムへの通報装置として、「ペンダント型マイドクター」のほかに、各お部屋に空間センサーが設置してあります。
人の動きを感知するセンサーで、トイレにいくときに必ず通るところにあります。12時間、人の動きを感知しなかったとき、自動的にセコムに異常とみなされて通報がいくようになっています。
【事例2】
Bさん(男性・60代)の居室に、「12時間、お部屋の中で人の動きがない」ということで、セコムが駆けつけました。
このときのBさんは、持病の糖尿病により、血糖値のコントロールがうまくいかず、身動きできない状態になっていました。12時間の空間センサーでの確認によって、すみやかにセコムに来てもらうことができて、ご入院となりました。
Bさんも、ひとり暮らしなので、もし空間センサーがなかったらどうなっていたかわかりません。「セコムの見守りがあってよかった」という例です。
「空間センサー」と、「ペンダント型マイドクター」は、全室にあります。また「ペンダント型マイドクター」は、1人入居の場合2つ、ご夫婦や2人入居の場合は3つお渡ししています。
「ゆいま〜る神南」は、⽇中は毎⽇ハウススタッフがいます。また夜間や緊急時はセコムのサービスとの連携があり、昼と夜とで、ふたつの安⼼を提供しています
安否確認や緊急対応に関して、ほかの「サ高住」ではちがうやり方でもやっています。ほかの高齢者住宅では、人の動きをもっと管理しているところもあります。「そういう方がいい」という方もいるし、「そこまでは希望しない」という方もいらっしゃるでしょう。
ご本⼈が「どういう暮らしをしたいのか」によって、 選ぶポイントも変わってきます。100%安全ということは、100%管理されるということでもあります。
Q4:「ゆいま~る神南」での「入居者の見守り」とは、実際どんな見守りを行っているのでしょうか?
「見守り」という言葉は、一般的な言葉なので、「サ高住での入居者の見守り」がどんなものか、わかりにくいですよね。
「ゆいま~る神南」で、実際にハウス長が行っている「見守り」は、以下の通りです。
まず、「見守り」というのは「見張る」ということではないと考えています。私が大切にしているのは、「日常の入居者の状況把握をする」という意識をもつことです。日常の把握をしなくては、変化に気づけないからです。
「ゆいま~る神南」では毎朝9:30に、健康づくりのために、自由参加のラジオ体操を行っています。
この時、私は、ラジオ体操をしている時の腕の可動域や体の動き、また「足首がむくんでいないか?」もさりげなく見ています。「今日は調子がよさそうだな」「ちょっと悪そうだな」と、ご自身では気づけないところを、ハウススタッフがさりげなく見ています。
また、夏には熱中症の危険性もあるので、気をつけて見守っています。
【事例3】
つい先日、6月に入って、すごく蒸し暑い日が続いたときのことです。お買い物帰りのCさん(男性・80代)と、建物内で顔を合わせることがありましたが、その時に、向こうから歩いてくる様子が普段と違っていることに気づきました。
それでちょっとお声がけをしたところ、「気分が悪い」と言われましたので、お帽子をとってもらって、マスクも外していただきました。そうしたら「ちょっとふらふらする」と言われたので、一緒にお部屋に入らせていただいて、ソファに横になっていただきました。
具合が悪くなったCさんは、熱中症のようにみえました。ご夫妻で入居されている方でしたので、奥さまのDさん(女性・80代)に「飲み物を出してください」と言って、対応していただきました。
その時、Dさんが出そうとした飲み物はアイスコーヒーでした。アイスコーヒーは利尿作用があって、熱中症の時の飲み物として適切ではないので、「アイスコーヒー以外の飲み物はありますか?」とお伝えしたところ、冷たいペットボトルの緑茶があったので、そのときは緑茶を飲んでいただきました。ただ、緑茶もカフェインが入っているので、利尿作用があるんですね。「できることなら麦茶などを、この季節は常備しておくといいですよ」というお話をしました。
余談ですが、「熱中症にはスポーツドリンクがいい」ということも聞きますが、すごく運動して大量に汗をかいたあとや、エネルギーを使ったあとに飲むものとしてはいいのだけれど、運動量が少ない高齢者などが、糖分の多いスポーツドリンクをそのまま飲むというのはあまりお勧めできません。麦茶やほうじ茶を用意しておくことをお勧めします。
このように、ハウススタッフは高齢者の健康に関する情報・知識も日頃から収集し、何かあったときには的確に対応できるよう心がけています。
福祉用具についても、最近ご相談がありました。
【事例4】
Eさん(女性・70代)から、「お風呂で使う椅子をさがしている」とのご相談がありました。Eさんの身体状況を考えると、必要なのは高さのあるシャワーチェアです。そこで、福祉用具の方に話をつなぐときに、Eさんの身体状況を一緒にお伝えするということもしました。
またシャワーチェアに座ったときの背もたれの位置によっては、皮膚に傷がつくことがあります。背もたれの高さもいろいろあるので、それも「Eさんにはこれぐらいの高さの背もたれがいいと思います」とお伝えしました。
そのほかにも、適切なシャワーチェアを選ぶときには、考慮した方がいいことがたくさんあります。お風呂の広さや、扉が引き戸か開き戸か。椅子の幅はどれが合うか、肘あてがあるのとないのとではどちらがいいか……。それらについてのハウスからの助言も含めて、福祉用具に話をつなぎました。
このように情報提供したうえで購入したシャワーチェアを、実際に使われたEさんは、とてもよろこんでいらっしゃいました。「お風呂の時間が楽になりました。お風呂は毎日のことなので、入るたびにストレスを感じていたんです。チェアをひとつ変えるだけで、こんなに快適にお風呂に入れるんですね」と。今もその椅子をお使いです。
高齢者の暮らしでは、いろんな生活の相談、困りごとがあるものです。ハウススタッフにご相談いただければ、適切な対応を行い、医療や介護で専門家の助言が必要なときは、専門家にご紹介いたします。
参加者からハウス長へのご質問と回答
Q5:夜間に体調が悪くなったときは、セコムに通報するのみですか?
夜間はハウススタッフがいませんので、対応はセコムの緊急駆けつけのみになります。
Q6:介護が必要になったとき、ケアマネさんと合わなかったら、変えてもらうことはできますか? また顔を合わせることがあったら、気まずいかなと気がかりです。
そういう質問は案外多いですね。結論からいうと変えられます。
ケアマネージャーさんに限らず、ヘルパーさんでも同じことがいえます。合わない場合に、チェンジを希望することは可能です。
どうしても伝えづらいという場合は、ハウスに相談してもらって、間にはいることもできます。
Q7:12時間動きがないと通報がいく「空間センサー」ですが、朝から夜遅くまでの外出や、泊りがけの旅行のときは、どうすればいいのですか?
そういう場合は、スイッチ一つで、空間センサーのオン/オフができます。「これから出かける」という操作をしてからお出かけになれば、大丈夫です。
また、旅行先で「切り忘れた!」と思いだした方がいらっしゃいました。
その場合は、フロントに連絡していただきました。フロントからセコムに連絡すると、遠隔操作でオフにしてもらうことができます。スイッチを切り忘れても安心です。
フロントがありますので、何か困ったときは、ご相談いただければ対応いたします。
Q8:私は、寝るのも食事も自由な方がいいのですが、食事の時間は決まっていますか?
食事は、自宅で自炊していただくので、時間も内容も自由です。もちろん、お酒を飲むのも自由です。
配食もとることができます。お弁当を届けてくれるサービスです。フロントでは、必要な方にはそうしたサービスのご紹介もできるよう、準備しています。
参加者の感想
「高齢者住宅案内所ゆいま~るステーション名古屋」でも初の試みだった「オンライン中継」でしたが、沖田ハウス長が、実例をまじえながら行った丁寧な説明で、参加者の皆さんもサ高住での暮らしのイメージができたようでした。
「疑問点はあらかた解消されました」「顔が見えてよく伝わる。IT時代ですねえ」と、参加者の評価も上々でした。
サービス付き高齢者向け住宅がどんなものか、安否確認や生活相談サービス、緊急時の対応についてもご理解いただいたうえで、サ高住が適している方は住み替えを検討し、自宅に住み続けたい方は何が必要かを考える必要があるでしょう。
今回の話を参考に、これから自分がどう過ごしたいかを考えていただければと思います。
また、「ゆいま~る神南」「ゆいま~る大曽根」に興味のある方は、見学も受け付けておりますので、どうぞお問合せください。
↓リンク先は、同日のゆいま~るカフェの前半の内容です。
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「サービス付き高齢者向け住宅」のメリットは? 入居相談員が解説します
【見学・相談関連情報はこちらです】
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