ゆいま~る大曽根ブログ

大曽根住宅セミナー 「自分で決める老後の住まい方」


 

講師 高齢者住宅情報センター 
大阪センター長 米沢なな子さん

5月20日、大曽根住宅1階集会室にて、セミナー「自分で決める老後の住まい方」が開催されました。
講師は、高齢者住宅情報センター 大阪センター長の米沢なな子さん。のべ4,500人の相談事例をもとに、元気な時に終のすみかを考えることの意味や選び方、長年の調査により蓄積された様々なデータ、将来の予想などをお話しいただきました。
住み替えのコツも含め、必要な情報、考えるヒントが詰まった講演となりました。

 

さまざまな相談を受けて

高齢者住宅情報センターでは、おひとり様の相談が多いのですが、ここ10年くらいは子どもがいる方が増えています。要介護になったとき、子どもに迷惑をかけたくない、お嫁さんに迷惑をかけたくない、子どもが共働き、子どもが離れて暮らしいるなど、様々な理由があるようです。
ほかには、家が古い、お金をかけて修繕するより住み替えたほうがよいのではないか、庭の手入れが大変、交通の便が悪いなど。また、男性が伴侶をなくしてお弁当ばかり食べていて飽きたとか、持病があるので先行き不安、などの理由で住み替えを考え、相談にいらっしゃる方もいます。
以上の相談は、お元気な方が多いですね。
あとは、夫婦・姉妹・高齢な親と子どもで、どちらかが要介護者であるが、一緒に入居できる公的な施設がない、入居できる所はないかという相談も増えています。

「完成期」を自分らしく過ごすには

私たちは、死を人生の「完成」ととらえ、完成期をいかに自分らしく過ごすかを理念として相談を受けてきました。昨年、これまで受けた相談事例をまとめた『自分で決める老後の住まい方』(2016年5月初版コミュニティネットワーク協会発行300円)が新聞で取り上げられ、大きな反響がありました。自分の住まい方を自分で決めたいという高齢者が多いのだとあらためて実感しました。
自分らしい完成期を迎えるためは、元気なうちに考えなければなりません。
講演で、「住み替えを考えている人?」と聞くと1~2人くらい、「今の家でずっと住み続けられる自信がある方?」と聞くと手を挙げる人はいません。「なんとなく、ずっと住み続けるのは無理だろうと思うから勉強に来た、でもすぐには動きたくない」という人が圧倒的です。
住み替えるためには、荷物の整理、複数のホーム見学、契約、自宅の処分、引っ越し……などやることがたくさんあります。要介護になって「そろそろ住み替えたほうがいいんじゃない?」と言われてからでは遅い、「まだ、早いんじゃない?」と言われるくらいがちょうどよいのです。お元気なうちなら、選択肢がたくさんあります!

1すぐにでも始められること

・荷物の整理です。住み替えを考えていなくても、60代になったら始めたほうがいいでしょう。
・後見人制度の勉強もしておくとよいでしょう。おひとり様の場合はとくにです。後見人は本人が亡くなると効力が無くなるので、死後の後片付けを依頼できる死後委任契約も結んでおくとよいでしょう。
・しっかりしているけれど、病気などで身体がきかない場合は、財産管理事務委任契約もあります。
・また、相続でもめるケースも増えています。金額的には総資産が2000万~3000万の案件が多いので、公正証書遺言を作っておくことをおすすめします。
・看取りについても考えておきましょう。「エンディングノート」を使って、どんな完成期を迎えたいか、周りにも意思表示しておきましょう。
・今は、墓を建てるより、「壊す」人のほうが多いのです。「墓じまい」セミナーを行いましたが、大盛況でした。お墓の問題も考えておきましょう。

2 高齢期をどう過ごすか

80歳までは元気な高齢者が多いのですが、80~84歳までの約3割が介護保険認定を受けています。ご夫婦も一緒に亡くなることはないので、どちらかがおひとり様になりますから、これから日本社会は高齢者のおひとり様が増えることは必死です。
高齢期をどう過ごすか、いくつかのケースがあります。

1)自宅で介護を受ける。
2)介護が必要になってから介護施設に入居する。
3)元気なうちに介護が受けられる後のすみかへ入居する。

1)は、お金持ちの人なら可能です。24時間、人を雇えばよいのですからね。2)は、自分が施設に入る状態で探すことは難しいし、入れる施設は決まってしまいます。3)は、自分で見学に行ったり、比べてみたり、思い切って遠いところへ行くとか、いろいろな選択肢があります。

3高齢者向け住宅について

高齢者住宅には、自立向けの一般居室と要介護向けの介護居室があります。一般居室から介護居室に住み替えができる両方を備えているものもあります。
自立向けは、身の回りのことが自分でできることが基本で、安否確認などはありますが、普通のマンションのようにプライバシーが守られ外出も自由です。介護居室は、トイレ、洗面台、ベッドが備えられているところがほとんど。キッチンや浴室は無く、病室みたいという方もいます。とくに、介護居室は18~20㎡のところが圧倒的です。
東海地方ですと、自立向け有料老人ホームは、モーニングパーク主税町、ライフ&シニアハウス千種、豊田ほっとかん、浜名湖エデンの園などがありますが、どこもかなり高級です。共有スペースや豪華な設備がたくさんあると、入居一時金が高くなります。

さて、高齢者住宅にはどのような種類があるのでしょうか。
・有料老人ホーム(おもに介護付と住宅型)
・シニア向け分譲マンション(普通のマンションに食堂や大浴場が付いており、24時間警備員がいる)
・サービス付き高齢者向け住宅(本来は安否確認、生活相談サービスがあるのみだが、要介護者向けが多く、実態は有料老人ホーム)
・シルバーハウジング(県営、市営、公社などの建物。収入によって家賃が変わる。ライフサポートアドバイザーが在駐)
・グループホーム(認知症の方向け。地域密着型で要介護2以上)
・軽費老人ホーム(身寄りが無い方、経済状況・家庭環境による理由のある方)
・特別養護老人ホーム(要介護3以上。30万人待機とも。所得で月額費用が変わる)
・老人保健施設(リハビリを目的とした施設。最長6ヶ月で終のすみかにならない)
・老人病院(数が減っており、介護保険を利用する病室は全廃されている)

たくさんありますが、主となるのは、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅あたりでしょうか。有料老人ホームの設置数は2000年に全国で350件だったのが2017年には1万2000件にまで増加しています。しかし、自立向けは2割弱。事業主は介護保険料が入るので「要介護者向け」を建てるわけです。日本全国では介護居室が約180万室あり、名古屋に限って言うと2万室あります。サ高住は、愛知県で245、名古屋で100くらいあります。特養に入る前の待機にサ高住に入れるケースも多いようです。
本来のサ高住は、住宅ですから、キッチン・浴室があるはずですが、現状は有料老人ホームの要介護者向けと同様これらの設備は無く、18~20㎡と狭い部屋が多いのです。サ高住の8割、有料老人ホームの9割が18㎡なのが実態です。

4自分の老後は自分で決める

女性の死亡数のピークは91歳。長い老後を誰とどこでどのように暮らすのか、自分で考えて行動してください。80歳になると、銀行など自分でお金を動かす判断が難しくなります。
もし住み替えるなら、住み替えラインは75歳。このくらいまでに動いていただくとうまくいきます。お元気なうちに住み替えたほうが、ぎりぎりになって住み替えられた方よりもお元気で長生きされる場合が多いのです。

5住まい選びのポイント

資金計画…自分のために使うことが大切です。

入居のタイミング…お元気なうちに。

事業者の理念…高齢者のことを考えているか。

看取りの体制…医療連携しているか。

高齢者住宅の種類でなく仕組みで選ぶ…種別は変わることもある。仕組みや内容で選ぶ。

 

高齢者住宅への住み替えを考えている方は、自分でしっかり見て決めることです。子どもの反応やまわりは無責任な助言が多いものです。自分の老後の住まい方、どう完成期を過ごすのかは、自分でしっかりと決めたいですね。

(5/20 ゆいま~る大曽根セミナー)

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