ゆいま~る大曽根記者会見が行われました!
10月7日に行われたゆいま~る大曽根オープン記念式典には、これまで注目してくださっていたメディアの皆さんもいらっしゃいました。ちょうど衆議院解散総選挙と重なってマスコミの皆さんも大忙しの中、ゆいま~る大曽根に関心を持ってくださっている記者の方が記者会見に出席してくださいました。
ゆいま~るシリーズがどのようにして始まり、今どのような段階なのか、今後の展望も含めて、有意義な記者会見となりました。
ゆいま~るシリーズのこれまでと、
今後コミュニティネットが目指すもの
弊社 取締役広報営業部長
渥美京子
ゆいま~る大曽根は10番目の「ゆいま~る」になります。私どもは、今の社会課題を解決するための手段として、徹底的にニーズに合うものとして「ゆいま~るシリーズ」を作ってまいりました。
最初は自立型の新築のゆいま~るを作りました。このときの社会課題は、多くの高齢者住宅が介護付きのものであり、高齢者住宅に入る人は家族の意志で入居することがほとんどでした。閉鎖的な空間で高齢者だけが住む施設しかありませんでした。そうではなく、元気なときから自分の意思で入居して最期まで暮らせる高齢者住宅が望まれている、そこからスタートしたのがゆいま~るでした。軸は当事者性であり、自分が年を取ったらどのようなところに住みたいかということを徹底的に考え作ってきました。それは現在も変わりませんが、元気なときから入居する自立型の高齢者住宅という考え方でした。
第2段階は、3年前ごろですけれども、全国に840万の空き家問題と、背景には少子高齢化というこの国の未来の危機的な状況、介護保険の危機、年金の減額という問題がありました。それを解決するための1つの方法論として生まれたのが「団地再生」の高齢者住宅です。団地再生の中には1棟丸ごとのサービス付き高齢者向け住宅に改修をした「ゆいま~る多摩平の森」、または「ゆいま~る高島平」や「ゆいま~る大曽根」のように、点在する空室をリノベーションして高齢者向け住宅にするという分散型サービス付き高齢者向け住宅を作ってきました。
第3段階は、これまでは私たちが住まいを用意し、食堂、コミュニティスペースも用意していくという形でした。けれども、ゆいま~る大曽根からは住まいを私たちが用意する。食堂、コミュニティスペース、そしてケア、リサイクルなどは地元で取り組んできた方や、法人と連携する。これがゆいま~る大曽根で試みた最初の形です。
オープンの日に、入居できるお部屋が残り2戸というのは初めてのことです。お手頃な価格と広さとコミュニティという3つが名古屋の皆さんによく受け止めていただけたのかなと思っております。今後、名古屋も含めて、リノベーションと、地域のNPOや法人の方と連携することで、地域全体が子どもも障がい者も高齢者も住みやすく、地域経済も活性化され、持続可能な地域を作ることのスタートになると考えています。私たちは事業を通して社会改革をしていきたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。
コミュニティスペース「ここからの風おおぞね」(仮称)の展望
わっぱの会 代表
斎藤縣三さん
わっぱの会は、名古屋で46年前から障がいのある人・ない人がともに働き、ともに暮らす地域社会を作っていこうと活動を続けてまいりました。2年前からは障がいのある人にとどまらず、生活困窮者の生活支援ということで、地域で生きることが困難な状況に置かれている人たちに対する取り組みを進めています。
今回、コミュニティネットさんから参加のお話があって、この場所に新しい地域スペース「ここからの風おおぞね(仮称)」を作ることになりました。もとはスーパーでしたが、同じスーパーを作るのではなく、新しい地域の福祉拠点となり、地域交流拠点になる場所、また地域の方々が積極的に参加し、いっしょに作り上げていく場所をイメージして作っていきたいと考えています。
私たちは、障がいのある人や生活困窮者の方が働く場所を作りたいということが出発点ですが、そういう働く場を作ることが自分たちの中で完結するのではなくて、地域の中に入って一緒に作っていくという今まで経験のない展開を今度おこなうことは、新しい意味を持っているのだと思います。障がいのある人、高齢者、さまざまな人びとの地域交流の拠点を展開が出来るということは、どこにもない新しい取り組みだと思っています。同時に、そこで障がい者や生活困窮者に関わらず、地域の高齢者問題、子どもたちの問題も総合的に相談できる包括的な相談センターを設けることも、この地域では画期的な試みだろうと思っております。
国も地域共生福祉ということを強調し始めましたけれども、上からではなくて地域住民が一緒に作りあげていく、そういう地域共生福祉の新しいモデルを大曽根住宅の地から始めていけるのではないかと、そんな期待を持って取り組みを始めております。
ゆいま~る大曽根 プロジェクトの説明
弊社 取締役企画開発部長
西尾弘之
昭和50年に建設された大曽根併存住宅ですが、全体で480戸、現在空室が全体で160戸ほどあり、そこに70戸のサービス付き高齢者向け住宅をつくろうと公募に応募しました。1棟と2棟を対象に、まず40戸、二期30戸ということで改修工事を進めました。もともと、1階の大型店舗撤退後の対策をどうするかというところからスタートしています。そこで考えたのが、ここにコミュニティの拠点を作ろうということです。幸い、わっぱの会さんに運営していただけることになりました。来年4月にオープンです。コミュニティの拠点ができると、もとの住居者の方たちも利便性が上がるということで期待されるだろうと思っています。
オープン記念式典にマスコミの方々、大勢の関係者の方々が集まってくださり、ここの自治会の方々と今日お話する中で、「新しい人が来るのを避けていてはだめだよね」「自分たちも年を取っていく中で、ありがたさがわかると思う。これからも仲良くお願いします」と言われて、非常に安心しました。次の段階で、大曽根住宅のさまざまな世代のコミュニティづくりをきちんとやっていかなければいけないと強く思いました。
さらに、もう1つ広げて周辺地域も巻き込んでの地域包括ケアシステムを作っていきたいです。わっぱの会さんも言われているように、暮らしそのもののケア、いろいろな人たちのサポートが出来るような包括システムを作っていくというところを目的にして、わっぱの会さんとよきパートナーとして作っていけたらと思っています。形としては理想形だと思っておりますので、今後確実に実績を上げていくことに力を注いでいきたいというところです。
以下、質疑応答は以下の通りでした。(抜粋)
・小店舗で先行オープンした「ここからの風おおぞね」の今後の展開は?
――資源買い取りを毎週日曜日、有機野菜の販売を毎週土曜日、わっぱんの販売を毎週水曜日と週3日、試験的に準備室ですすめていく。需要が高まってくれば回数を増やしたり、大型店舗ではじめる事業の一部を先行してスタートして、実験的に地域の反応を見ていく。(斎藤)
・大曽根のような住宅街でも買物難民はいると思うが、今後宅配のようなことは考えているか。
――地域住民にチラシをまいたり、訪問したりしながら、届けてほしいという声はあり、お弁当、野菜、パンの宅配も試験的に始めていきたい。2018年4月に本格的に始動すれば、宅配の帰りに家庭の中にたまっている「資源」をこちらで引き取ってくるというようにセットでやっていきたい。できたら障がい者の仕事にしたいと考えている。(斎藤)
・有機野菜は、わっぱの会で作っている南知多の野菜?
――そこの農場だけでは限られるので、この地域の協力を得て、そのときに同時にここで販売する野菜も持ってきてもらって、こちらが取りにいくしくみを考えている。(斎藤)
・買取りの資源の種類は?
――資源買い取りセンターという取り組み自体が、津島市ではじまったばかりでまだどこにも広がっていないユニークな試み。ここでは、古着、ペットボトル、アルミ缶など準備室では8品目。本格的に4月にオープンしたら30数品目。すべて資源として販路があるものは買い取る。
資源ごみではなく、資源という商品。こちらはお金を出して買い取る。たまりしだい、資源業者に引き取りにきていただく。ひとつの中継地点。
資源買い取りセンターの隣にカフェレストランというと汚いイメージがあるかもしれないが、ごみではなく商品なので、持って来る方にもきれいにしてもらうようお願いしている。そういうルールが徹底されてきた。最初は汚いまま持ってきたお客さんも、こちらで説明すれば次からは意識してきれいにしてもってくる。現在のような集団回収、行政回収では、結局ごみの感覚で出しているから非常に汚いまま出している方もいる。それが大きく変わってくる。そういう意味では、環境教育、リサイクル教育にもなる。ぜひそういうことを子どもの時期から意識してもらいたい。そういう意味でおもちゃのリサイクルの場を設けるとか、子どもたちの中にもそういう意識を作ってもらいたいと考えている。(斎藤)
・日本版のCCRCを目指すとのことだが、今後、高齢者だけでなくて障がい者の方もここに一緒に住むということもある?
――10月から住宅のセーフティネット法が施行された。考え方としては生活困窮者、シングルマザー、障がい者、そういう人たちの住宅を供給していこうという制度ができている。基本的にはコミュニティネットとしてはCCRCと含めて、そこに視点を置きながら展開したい。構想としてはある。
もともとの私共の事業コンセプトは、子どもも障がい者も高齢者もともに住み続けられる地域づくり。それを実現するための事業の枠としてのサ高住、高齢者住宅を作っている。器が出来れば、地域の人・物・金が乗る。たとえば、これまでの事業は食堂を障がい者の就労支援事業所に委託したり、多目的ホールを作ってセミナーを開いて勉強したりという形でやってきた。その具現化が、わっぱの会との共同事業ということによってできてきたという段階だ。CCRCの中でも、この哲学を広げていきたい。(渥美)
↑記者会見の様子(2017/10/7)