元気なうちに住み替えて成功! 都留の暮らしを満喫中
金井節子さんが「ゆいま~る都留」に引っ越してこられたのは、2019年10月19日。関東地方を中心に甚大な被害をもたらした台風19号の余波で、中央道が通行止めとなり、一般道を通って6時間かかって到着したそうです。首都圏から、念願の自然豊かな都留市へ住み替えて9カ月。部屋から見える富士山を満喫しながら、自分らしくアクティブに過ごされている金井さんの暮らしぶりをご紹介します。
――「ゆいま~る都留」を知ったきっかけから教えてください。
金井 ここに来る前は、首都圏のマンションに暮らしていて、保育士の仕事をしていました。趣味はコーラス、ウォーキング、クラシックバレエ、メジャーリーグ観戦。仕事をしながら趣味を楽しむという暮らしです。
3年くらい前から、将来的には自然のあるところで落ち着きたいと思うようになりました。最初は、遠い場所での移住も考えたのですが、高齢者に向けた取り組みをしている自治体となるとなかなか納得したところが見つからなかったのです。
いろいろインターネットで調べていたところ、都留市がサービス付き高齢者向け住宅について取り組んでいるということを知りました。そのサ高住が「ゆいま~る都留」でした。それから、都留市のイベントなどに参加して土地を知り、自分の肌に合いそうだな、こういうところの高齢者住宅ならば住みたいな、と思うようになりました。都留市の取り組みと「ゆいま~る」の理念が自分の考える暮らし方に合致したのです。
――とてもアクティブな金井さんですが、お元気なうちに住み替えられた理由はなぜですか。
金井 地方の自然の中で暮らしたい、ということであれば、あまり老いてからでは楽しめないと思ったからです。自分が元気で自由に動ける時に行かないと、せっかく住み替えても楽しめないでしょう。人を当てにせず、自分で動いて、自分の目で確かめて、この環境を満喫できるのは今かな、と思ったのです。
――住み替え前の印象と、実際暮らしてみて変わったところはありますか。
金井 失望感はまったくありませんでした。都留市内や、「ゆいま~る都留」の周辺を知るたびに自分には合っていると思っています。周辺を歩いたり、電車に乗っていろいろ出かけてみると、ああ、やっぱり来てよかったな、長くいられるな、と感じています。
なんといっても、環境のすばらしさです。私の部屋から富士山が見えるのです。しかも、季節や時間によって、毎日違った富士山が見られる。贅沢ですよね。皆さんに「うらやましい」って言われます。
来てみて、意外に感じたのは、買い物。ハウスから徒歩10分で、スーパー、ホームセンター、薬局、市役所に行けること。暮らしに必要な場所にすべて歩いて行けることは、来る前に聞いていたよりも便利で、暮らしやすさを実感しています。
車の免許も持っているのですが、今は自転車にも乗らなくなりました。山梨県は健康寿命が長いそうです。なるべく用事を作って出かけ、適当に運動して筋力をつけたいですね。
それと、交通面ですが、首都圏から遠いイメージがあるけれど、高速バスがハウスのすぐ近くから出ているので新宿まで1時間20分くらいで着きます。電車も時間帯によっては直通で新宿や東京に1時間ちょっとで行けるので、思っている以上に便利です。
引っ越し前との違いは、仕事をしていたことくらいでしょうか。基本的には、自分の好きなことをして暮らすというスタイルは変わっていません。
――ウォーキングが趣味と伺いましたが、こちらに来てどのように楽しんでいますか。
金井 都留市観光協会が制作している「つるさんぽ」などを見ながら、ウォーキングをしています。1時間くらいで行けるよいコースが結構あります。
あと、富士急電車のシルバーパスを購入して、各駅に行って降りて、そこの名所とか、散策コースを歩いています。いいところがたくさんあるので、とても楽しめています。部屋から富士山が見えるという話をしましたけれど、各駅でも富士山の見え方が違うのです。富士山がとても素晴らしく見える場所を捜し歩く、これがとても楽しいのです。
――1日の過ごし方について教えてください。
金井 朝は、だいたい5時半に起きます。ハウスの裏山がすばらしいので、まずは40~50分かけてウォーキングします。そのあと、居住者の有志の方がやってくださっているラジオ体操に参加し、朝食をしっかりとります。パン食ですが、野菜とか肉とか、栄養を考えてしっかり食べますね。
食後は、朝のドラマを見たり、歌の練習をしたりして過ごします。地元のコーラスグループに入っていて、今はコロナの関係でお休みですが、部屋で練習しています。そのあとは、お天気がいいから買い物に行こうとか、これだけの用があるから今やっておこうとか、その日によります。
午後は、好きな映画音楽のCDを聞いたりして、のんびりと過ごします。そして、課題にしていることがあって、それは「川柳」。居住者の方が、初心者でもわかりやすいように教えてくださいました。
続けられればいいなと思いながら、5・7・5日記を毎日つけています。今日、自分が注目したこと、関心を持ったこと、自分の素直な気持ちや喜怒哀楽を、川柳として考えるのです。いいのが浮かんだぞ、と思ってもそのままになったり、納得できるものが出来たりとまちまちで、なかなか人さまには公開できませんが、脳の活性化にいいと思っています。世の中の出来事、自分の感情など、身近な生活のことから世界のことまで5・7・5に表現としてまとめていく。約束事や短くまとめる難しさがありますが、考えるのがいいと思いますね。
これまでは、自分は運動的なことが好きで、あまり興味はなかったけれど、これからは生きがいのひとつとして続けていきたいと思っています。
就寝するまでは日によってバラバラで、よく動いて早く寝るときもあるし、今日は絶対にこのドラマを見るぞ、と11時になったり。でも、起床時間は変わらないですね。
――お部屋がとてもスッキリ、素敵ですね。コツはありますか。
金井 これまでのお部屋よりも狭くなるから断捨離をした、というわけではないのです。年を取ってきて、後々処分するのは大変だと感じていたので、すでに大きな家具とか書棚とかはここへ来る数年前から処分していました。
それと、引っ越しが十数回と、もともと多かったので、そのたびごとに整理するのが身についていたのでしょう。これから先、状況によっては介護用品が増えるかもしれません。そういう可能性を考えながら、限られたスペースを広く使いたいと思っています。
あと、昔、インテリアコーディネーターを目指して勉強をしていたことがありました。1年間勉強しましたけれど、プロになるのはとても難しいとあきらめました。でも、部屋のコーディネートやインテリアを工夫するのは今も好きです。
――お部屋に置かれているバレエの写真と、フィギュアについて教えてください。
金井 住み替える前、シニアクラスでクラシックバレエを習っていました。住んでいたマンションの目の前にスタジオがあって、よく見えていたんです。それで、シニアの方がやっているクラスがあるのを知り、思い切ってはじめました。十数年間、ここに来る5年前まで習っていました。クラスの方たちとは、今でもお付き合いがあります。
テレビの横に置いているフィギュアですが、実は、メジャーリーグが大好きで、イチロー選手のいるシアトル・マリナーズの試合とか何度か見に行ったことがあります。それが高じて、ファン感謝デーで配られるフィギュアを集めるようになりました。現地ツアーの方にお願いして、私の分のチケットを購入してもらい、フィギュアを手に入れてもらったりして。
メジャーリーグの場合、応援の仕方が日本とは違って、応援歌や鳴り物などはなく、ファインプレーには拍手で応援するのが基本です。観客が選手のプレーをとてもよく見ていている、そういうところが気に入っています。でも試合前は自由に歩き回れて、どこの席に座ってもいいし、写真を撮ったり、食べ物やビールをいただいたり、とても楽しいのです。
――近年は、自然災害や、今年はコロナなど高齢者の一人暮らしでは心細いことが多くなってきました。
金井 お友達からは、「あなたはいい時期にこういうところを選ばれたのね」と言われます。不安な社会になると、安心できる場所、頼れる場所が必要だとあらためて感じます。
ここに来て、居住者同士でいろいろ協力し合うという場面が芽生えてきています。いろいろな部会、サークルを通じて、男性・女性ともに、助け合うという関係。それも、押し付けられたものではなく、自然の中でできてきていると感じます。最初は女性が多かったのですが、最近は、イベント部、菜園部など、男性も多くいらっしゃいます。お花を一生懸命植えてくれる方がいて、そういうのを見て草取りをしてくださる方もいて、自然に助け合う関係。私も、協力できることを自然にしています。
――これから楽しみにしていることはありますか。
金井 地元のコーラスの再開です。コロナ禍で半年近くお休みが続いていますが、再開を心待ちにしています。
若いころは、登山やハイキングが趣味で、山梨県にもよく来ていました。コロナが落ち着いたら、地元の登山サークルなどにも参加して、地元の人たちと交流していきたいです。もちろん、居住者の方たちとも交流を広げていけたらと思っています。
――住み替えを考えている方へアドバイスがあればお願いします。
金井 私の経験から考えると、自分に合っているかどうかが一番大切だと思います。土地柄、住宅、暮らすイメージが自分に合うかどうかです。合いそうだと思ったら、今はまだ早いというのではなくて、その時に動くことをお勧めします。早い時期に、元気なうちに住み替えたほうが、自分のやりたいことができるし、その先いきいきと生きられると思うのです。
私も、周りからは「まだ早いのでは」と言われましたが、後期高齢者になってからではなくて、元気な時にやりたいことをしたいと思って決意しました。結局は、ご自身で決める、ご自身で合う時期に住み替える、ということですけれど、私は年々体が衰えてくるのだから、決断は早くした方がいいと決めました。
この環境が気に入って、何度も現地に来て検討できたのも元気なうちだからこそ。
今は、四季折々、都会では見られないすばらしい風景を味わえます。初夏なら田植えの風景、カエルの鳴き声とか、なんともいえない自然に囲まれて、自分の中に新鮮なものを取り入れられる気がします。とくに出かけなくても、毎日すばらしい景色が見られる。本当にきてよったと思っています。
「お元気なうちに」「自分らしく生きるために」という「ゆいま~るシリーズ」の理念を体現してくださっている金井さん。表情豊かではつらつとしたお話しぶりで、元気をいただきました。
(2020年7月8日インタビュー)