ゆいま~る神南 暮らす人びとの声

「ゆいま~る神南」にはささやかだけれど私を癒してくれるものがある


ゆいま~る神南に来る前は「10mも歩けなかった」とおっしゃる大林峰子さん(78)。車を利用し、杖を使って歩いていたそうです。それが今では「気づけば1000歩、2000歩と歩けるようになった。最高は8000歩です」。ゆいま~る神南に住み替えて2年。こんなに歩けるようになるとは予測していなかった、とご本人も驚いています。
さて、どのような暮らしが大林さんを変えたのでしょうか。お話を伺いました。

土いじりを楽しむ大林さん(2020年8月入居)。コキアの赤ちゃんと

 

◆納得のいく高齢者向け住宅を探して◆

――ゆいま~る神南に来る前の暮らしについてお聞かせください。

愛知県内の、昔ながらの田舎に住んでいました。主人が工場を経営していて、私は主婦をしながらそこの事務関係の仕事を手伝っていました。私が52歳の時、主人は58歳で病気のため亡くなりました。その後は姑さんを守りながら、そして姑さんが亡くなってからも田舎のしきたりに則って家を守り、1人で判断しながらがんばってきました。会社も主人が亡くなる3年前に閉じたのですが、整理するまでに20年かかりました。
楽しみは庭の手入れとドライブ。山景色が好きで、季節の移り変わりが好きでした。ようやく整理がついたころ、車のバック駐車が1回でうまく入らなかったことにショックを受けました。自分も年を取った、がんばりすぎた、と急に疲れを感じたのです。それからも、信号の見間違え、歩行者の見落としなどがあり、事故にはつながらないけれども、ヒヤッとする ことが出てきました。

――それで、高齢者向け住宅への住み替えを考え始めた?

そうですね。生活は落ち着いてきたけれども、心の不安が出てきたんです。まず免許証返納時期を考えるようになり、車が無くても生活ができる自由な高齢者住宅があるかを調べ始めました。

――長く暮らしていたところからの住み替えは抵抗ありませんでしたか?

私は杖がないと歩けなくて、たとえば買い物をして荷物を持つと杖が持てないので、10m先の用事でも車を使う生活でした。運転は心配だけれど、歩くとか、バスに乗るという発想が出来なかったので、どうしよう…と不安になりました。
ゴミ捨てに行くのも大変だから来週にしようとか、嫌な方に生活が流れていくようになり、そういうことがひとつ、ふたつと増えてきて、負担になってきたんですね。
住んでいたところは田舎で親戚縁者も多く、地域の人たちとのつながりも何十年とありました。私が「できない」と言えば、助けてくれる方はたくさんいます。ただ、同様に私が求められた時、この足でお手伝いができるかとても不安になりました。システム的な援助を受けた方が気持ち的に楽になるのではないかと思いました。思い切って新しい環境に移りたいと思ったのです。

 ――本格的に高齢者向け住宅を探し始めたのですね。

生活は少ない費用でできるところがよいと、資料を集めました。最初は新聞広告などを見て、高齢者施設に電話をかけたら、「自立の方は入れません」と言われ、はじめて「自立」型と「介護」型があるのを知りました。
その後もインターネットなどで調べて、電話をかけまくりましたが、近隣では「自立」でないところが多く希望に合うところが見つかりません。隣の市にサービス付き高齢者向け住宅を見つけて見学に行きました。自立型で、普通のマンションと一緒で気に入りましたが、費用が合わずあきらめました。
名古屋まで範囲を広げたところ、「ゆいま~る大曽根」を見つけました。私は、出来るうちは自炊したいし、質素でも自分でおかずを作りたい、お風呂も好き勝手に使いたい、リビングと寝室は分けたいと思っていて、ようやく費用も合わせて希望の住宅が見つかったのです。自分の目で見てみたいとさっそく出かけましたが、周辺環境を見て、高層ビルが多く、自分には無理かなと感じました。

――最初は「ゆいま~る大曽根」に行かれたのですね。たしかに、大曽根は主要駅で交通の便がよい分、駅付近はビルが多い印象かもしれません。

「ゆいま~る大曽根」の運営会社のホームページを見たら、名古屋にもうひとつサ高住があると知ったんです。ネットで部屋を見てみたらとてもよかった。
今度は実際に神南まで車で行き、近くのスーパーに車を止めて、バス停まで何分かかるか、コンビニや郵便局、病院まで歩いてみました。そうしたら、時間はかかりましたが、歩けたんですね。
そして、失礼かもしれませんが、神南の田舎的な感じがよかったんです。入居条件として設備的なこと以外に、空が見える、山が見える場所が希望でした。ここなら、マンションの上の階にいけば、空も山も見えるかもしれないと思いました。それと、私が大好きな桜の木が敷地内にいっぱいあった。隣の公園にあった銀杏の木も気に入りました。自分を癒してくれるものが、神南にはあるような気がして、フロントに電話をして、資料を送ってもらいました。
また、これまで見学したサ高住とはちがって、ここは一般の方と一緒なんですよね。私も社会と切り離されず、一般の方たちの中に入って生きていける、と思いました。高齢者だけ隔離するのではなく、神南という地域がひとつなんです。心が穏やかになれそうな気がしました。

ゆいま~る神南の敷地にある桜

 ――「分散型サ高住」の特徴に加えて、大林さんの求めるものが「ゆいま~る神南」には揃っていたのですね。

はじめは4階を案内してもらいましたが、窓からの景色を考えて10階のお部屋も見せてもらいました。空も、山も見えて、しかも私の好きな御嶽山まで臨めることがわかり、さらに大好きなドクターイエロー(線路や電気設備を「健康診断」するために走りながら検査する黄色い新幹線)も見られる、名鉄の赤い電車も見ることができる。ささやかだけれど自分の大好きな物がここには全部揃っていたんです。
これだけの環境は絶対ない、これを不満に思うのはわがままだと思いました。今までのストレスを忘れて、自分の本心で生きていけたら幸せだなと思い、入居を決めました。

 ――お子さんたちは賛成してくれましたか。

子どもたちも私の考え方を理解し、賛成してくれました。契約の時も一緒に来てくれて納得してくれました。

北側の共用廊下から見える御嶽山(写真はズーム)

 

好きなことが自由にできる環境がありがたい◆

――神南に住み替えてからの暮らしについてお聞かせください。

自由気ままに暮らしています。
外が明るくなれば目が覚めます。その日によって違いますが、だいたい5時から6時くらいの間に起きて、ハウス前の草取りをします。
田舎暮らしだったので、土のにおいが大好きで安らぐんです。花を育てるよりも、草取りのほうが好きです。ハウス長に了解いただいて、草ぼうぼうだったところを、土を起こして前に住んでいたところから運んだ苗を植えました。ここは埋め立ての痩せた土なので、なかなか花開くまではいきません。でも、いつか咲いてくれるかな、と思いながら土をいじるのがとても幸せなのです。
夏は暑いので6時30分から2時間くらい、冬は9時30分から2時間くらい。癒されることは人それぞれですが、私は土の上に座っているだけで心が落ち着くんです。

自宅の庭から持ってきたアガパンサス

――スタッフによると、以前に比べてとてもきれいになったと評判です。

花好きの人たちに教えてもらいながら、私の好きなようなさせていただけるのがとてもありがたいです。サークル活動だと、何日の何時に集合などと取り決めがありますよね。体がついていけばいいけれど負担になったら意味がないと思って、ハウス長に「ひとりでさせてもらいたい」と言ったら、快く受けていただいて。私が調子づいて土いじりをしているので、ハウス長には「気を付けてくださいね」と心配してもらっています。

――お部屋ではどのように過ごされていますか。

新聞を読むのが好きですね。時代小説や美術本など本も好きで、読みだすと2~3時間没頭してしまいます。最近は内容がなかなか頭に入りませんが、字を追いかけるのは好きです。新聞の読者投稿欄「くらしの作文」は必ず読んで、ノートに書き写すことを毎日続けています。
テレビは見ません。見ても話題とテンポについていけないし、こちらでも設置していません。テレビがなければ他のことをしようと思って。
ラジオや落語のCDを聞くのは好きで、常時流れていますね。

――草取りや、お部屋で過ごす以外、なにかされていますか。

10mも歩けず、部屋からゴミ置き場に行くまで、最初はすごく苦痛でした。でも今は、週3回くらいウォーキングに出かけています。目標は6000歩です。片手で押すカートがあるのですが、それで行けば、一番多くて8000歩まで歩いたことがあります。気がつくと、1000歩、2000歩と、無意識に歩けるようになりました。バス停までも、最初は8分かかっていましたが、今は普通に歩いて3分で着きます。
毎日の鍛錬で筋肉は年齢に関係なくつくのだと実感しました。片足立ちもできなかったのに、今はできるようになった。車に乗れない効果、歩くことの効果に驚いています。
バスに乗れば主要駅のすぐそばに停車するので、どこにでも行かれます。名古屋観光ルートバス”メーグル”に乗ってみたり、敬老パスを利用して、朝市に行ったり、デパートの催しに出かけたり、名所を探して庭園に行ったりと、そういった楽しみもぼちぼち始めています。
コツコツ歩くことの大切さを身にしみて感じています。2年間でこれだけ変わるとは予測できませんでした。

名古屋市観光文化交流局が名古屋市内の名所を結んで運行しているバス路線

――「ゆいま~る神南」での暮らしが大林さんに合っていたのですね。自由に暮らしながら、コツコツ努力される姿勢も、健康寿命を延ばしている理由だと思います。

神南の先輩入居者が教えてくれたのですが、「今日が1番若いんだよ、明日になると1日年を取るんだよ。明日につながるような生き方をしよう」と。当たり前だけれど、あらためて考えるとすごいことだな、今日1日を大事に過ごさなければと思いました。「寝る時に、今日も1日ありがとう、と感謝する」とその方に教えてもらい、実行しています。
世の中どんどん変わりますし、不安だらけですが、それを感じても仕方がない。自分の中で、できること・ありがたいことだけを考えようと思っています。

――素敵な考え方ですね。見習いたいです。

元気なうちは草取りをして、できればここで最後まで、介護など社会的なシステムを使いながら、暮らしたいなと思います。
姑さんは、84歳で亡くなる直前まで元気でした。おしゃべりで食べることが好きで、俳句を作って自宅での暮らしを楽しんでいました。また、前住んでいたところの近くにいた90歳過ぎのおばあちゃんは、庭にゴザを敷いた上に座って、届く範囲で草取りをしていました。その部分は草1本なく、とてもきれいでした。
私も亡くなる直前まで自然の中で過ごせたら幸せだなと思っています。ここには、何をしてもいいよ、ひとりで好きなことをしてもいいよ、という自由がある。こういう自由があるということは、入居前は知らなかったです。感謝しています。

――充実した暮らしぶりですが、これからやってみたいことがあれば教えてください。

草取りや観光地巡りをして楽しんでいますが、いずれは負担になるときが来ると思います。からだは思うように動かないけれど、まだ介護型施設には行かなくても過ごせるという時に備えて、部屋でできる楽しみを見つけたいです。
今も、布などで小さなもの作るのが好きですが、針が使えなくなったら糊で貼るとか、絵を描くなどです。
絵本も昔から好きで、大人向けの本よりも創造的で深いと思っています。版画も好きなので、絵葉書を並べたり、絵本も壁に飾ったりして、楽しめたらと思っています。あと、自分で色塗りができるような遊べるものを見つけたら、それも時間を忘れて過ごせるのではないかと思います。

――好きな絵本はありますか。

ディック・ブルーナの「うさこちゃん」シリーズです。今はミッフィーと言いますね。
数十年前に子どもの誕生祝に友人からうさこちゃんシリーズの4冊セットをいただいて気に入りました。それから、知人の赤ちゃんが生まれると必ずプレゼントしてきました。自分にとってとても深い思いのある絵本なのです。
絵本を選ぶときは、作者というより絵で選びます。こちらに来る時にだいぶ手放してきたので、これからまた集めていきたいです。

福音館書店刊 「うさこちゃん」シリーズ

――暮らしの中で気を付けていることは何ですか。

食事で気を付けていることは、「まごはやさしい」(豆、ごま、わかめ、野菜、魚、しいたけ、芋)。1日では食べ切れないので、2~3日で摂れるように意識しています。そういうことが頭の中にあることが、ひとつの活力になっているのかな。
育ってきた環境も田舎でしたが、魚が食卓に上がることが多かったです。いわしでも塩焼きでジュッと焼くのが好きです。子どもが小さいころは今風のメニューを作っていましたが、今は幼い時に食べたもの、母の味付けになっています。自炊だと、自分の口に合わせているから、何を食べてもおいしいですね。素材は高級でなくても、満足感があります。

――ゆいま~る神南に決まるまで、3年間で31件資料を取り寄せたり見学なさったと聞きました。住み替えのアドバイスがあればお聞かせください。

32件目が「神南」でした。ここへは数回通い、電話も何度かかけています。見学の時にも、これはちょっと引っかかるなあと思ったことには妥協せずに、もうちょっと調べてみようと、自分に正直に探した結果かなと思います。この先、こんなはずじゃなかったということがあるかもしれませんが、それはどこに行っても同じだと思います。
私が思うのは、我慢をしない暮らしができるところを選びたいということ。年を取ると我慢がとても苦痛になります。我慢と受け入れることとは違います。引っかかることがあってもこれは受け入れよう、自分の身をそこに置いてがんばってみようというのは大丈夫ですが、我慢するというのは次のステップに進めないと、自分の経験としてありました。
具体的にと言うと難しいですが、自由に自分の時間を使うということでしょうか。やりたいことをやる、寝たいときに寝る、行きたいときに行く環境。これが自分にとって一番大事でした。
ときには「だらしない自分でいられる」「人目を気にせず自由にいられる」場所が必要です。ここは私にとってはとてもラッキーな場所です。子どもたちにも、「お母さんはここを終のすみかとして過ごすから、自分の人生を大切にしてほしい」とはっきり言えるようになりました。

――納得いく場所で、自由な暮らしを楽しんでいただけてよかったです。

サ高住のシステムですが、何よりフロントがある安心感です。直接何かしてもらうというよりも、何か起きたときに相談にいける窓口がある、それは一番安心するところです。
前に住んでいたところでは、そういう窓口は自分で探さなければいけないし、何かあれば自分で行かなければいけない。相談したいときはどこかに負担がある状態なので難しい。ここにいればすぐに電話ができ、来てもらうこともできます。これからのことも相談にも乗っていただける。
ここに来て思ったのは、「母ちゃんがおるわ」ということです。子どもが「困った、どうしよう」と思って、お母さんに相談できるような安心感がある。それはとても大きいと思います。一般のマンションの暮らしと同じだけれど、バックにある温かさ、安心感がある。それがサービス料なんだろうなと理解しています。これから、不安が増してくる年齢になっても、最後までここにいたい理由が「それ」じゃないのかな、と思っています。

大林さんのモットーは、①元気なうちは自炊する、②ゆとりを持って行動する(走らない、転ばない、滑らないため)、③笑う(落語を聞く)、④声を出す(挨拶する)、⑤感謝する、だそうです。スタッフ一同、参考にさせていただきながら、必要なときは頼っていただけるように頑張りたいと思います。(2022/7/14 インタビュー)

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