足が不自由な姉とふたり暮らし。姉の施設入所で愛犬と転居
ゆいま〜る聖ヶ丘
田中八重子さん(75歳)の場合
(入居:2012年6月)
田中さんは足の不自由なお姉さんと50年間いっしょに暮らされ、そのお姉さんの施設転居から、ご自身の住み替えも考えられたとか。転居のポイントの1つは、愛犬とともに暮らせるケア付きの住宅。その条件にぴったり合った「ゆいま~る聖ヶ丘」を見学した翌月にはもうご入居を。スピード決断の背景をあらためてうかがいました。
Q:お姉さんとふたり暮らしだったとお聞きしました。
田中 そうです。3年前までいっしょに住んでいました。
私は8人きょうだいの8番目。2番めの姉が小学校1年の時に脊髄性小児麻痺で両足が不自由になってしまったんです。松葉杖をついても歩くことが難しくなって、買い物に行くにも重たいものが持てず、ひとりで暮らすのは無理だったので、私が50年間いっしょに暮らしていました。
私は1回所帯を持ったことがあるんです。深大寺(東京都調布市)の近くに家を買って住んでいたこともあります。その所帯を終わりにして、姉と暮らすことにしました。
1番上の姉は92歳ですが、今、東京でひとり暮らしをしています。他に大正生まれの兄が5人いたのですが、兄たちはもう他界したので、おりません。だから足の悪い姉をみる人が私以外いないのです。だいぶ前になりますが、どうしようかと思っているときに、多摩市の賃貸マンションの抽選に当たったので越してきました。
そこは11階建ての2階。7年間住んだのですが、家賃が上がる話があって、たまたま隣の分譲マンションに空きが出たので、そこを買って、姉と暮らしていました。その家は1階で、階段を使わなくてもいいので、足の悪い姉にとっても暮らしやすい家でした。
Q:そのお姉さまとの暮らしに大きな変化があったそうですが…。
田中 姉は手に職をつけて、紳士服の縫製をして自活していました。
私も時計の大手メーカーに勤務していて、そのあと、都立の養護学校などで給食の仕事にもつきました。
それぞれ仕事を持っていて、自分で食べる分は自分で稼ぐ、という生活が成り立っていたのですが、3年前に、姉は夏負けしたのかバテてしまい、ご飯がぜんぜん食べられなくなってしまったのです。水も飲めなくて、「このままではお姉さんもあなたも両方とも倒れますよ」と往診のお医者さんに言われて、それで急いで姉が入れる施設を探しました。
特別養護老人ホームを希望したのですが、多摩市内はどこも300人待ちのような状態で入れません。結局、民間の有料老人ホームに入り、そこで特養の空き待ちをしています。
Q:田中さんご自身が住み替えを考えた理由は何ですか?
田中 私たちが住んでいたマンションは3部屋とダイニングなのですが、姉がいなくなると私には広すぎます。もう少しこじんまりしたところがいいなというのと、私自身、かつて脳梗塞になったことがあり、薬でだいたい治りましたが、再発への不安もあって、ひとり暮らしはダメだなと思ったのです。
脳梗塞になった最初は手がしびれて力が入らないし、左側がおかしくなって倒れてしまう。おかしいなと思って手を持っていこうとするとのですが、めまいがする。脳神経外科の先生に診てもらったら、三箇所ぐらい脳の血管がつまっていると聞きました。今、血液が流れるようにする薬をのんで治療していて、症状はよくなっているのですが、脳梗塞が再発したらもっとひどくなるかもしれないと先生に聞いたので、それは困ると思って用心しています。
Q:ゆいま~る聖ヶ丘を選ばれたポイントは?
田中 私は書道を教えているのですが、その仲間のお一人が「ゆいま~る聖ヶ丘」に入居されて、「そのうち空きが出るかもしれないから、見学させてもらえば」と言ってくれたのです。
見学に来た時、ちょうど今の部屋が空いていました。12.3帖のLDKと9.1帖の洋室。今まで姉と住んでいたところは4部屋あったので、だいぶ物を捨てないと、入れるところがない、とは思いましたが、それは我慢するよりないと思いました。
ここが良かったのは、今までどおりに生活できるし、それでいて見守ってもらえること。いざというときには看てくれる。今までの団地は自由気ままに暮らせますけど、病気になったらどうなるのか……。やっぱりいざとなった時の見守りや、介護につないでもらえるのが大きいですね。
それとここはペットが飼える、というのも重要でした。この子(ヨークシャテリアの女の子、ちいちゃん)を置いて行くわけにはいきませんし。とくに老犬なので最期まで看てあげたいんです。
Q:実際に暮らしてみてどうですか?
田中 まだ入居から間もないので、暮らしは慣れないことが多いですね。ガス台がIHになり、まだ使いこなせていいませんし、前は和室があったのですが、全部フローリングなので、犬は走り回るとすべってしまうから、部屋にタオルを敷いています。ちょっとおかしいんですが、仕方ないですね。
それと、安否確認のために毎日いちいち一階に行って、ボタンみたいなものを貼り付けに行くのですが、それも少しめんどうかしら。でも、まあ、あれで生きているか、ダメなのか、わかるんですよね。
そうそう一階の入口がオートロックなので、ゴミ出しに出た時など、鍵を忘れると入れない。いっぺん本当に忘れてしまって、入れなくて、どうしようと思っていたら、よその奥さんが鍵を開けて入るところだったので、一緒に入ったホッとしたことも(苦笑)。
まだまだ暮らしていく上で、これまでと違う点に戸惑うことはあります。だんだん慣れて行かないと、と思っています。
Q:現在の日々の楽しみを教えて下さい。
田中 お習字ですね。他に趣味はないので。お習字は30代から初めて、もう30年以上やっています。今、私は8段です。9段まであって、その上は無審査といって、そこに行くのは難しいですね。
今、一般の人と、それから障害者の人にお習字を教えてほしいと頼まれて、2カ所に教えに行っています。それぞれ週2回なので、合計4回教えています。
ここの「ゆいま~る聖ヶ丘」でも教えてくれませんか? と言われているのですが、これ以上は忙しくてできないのですが。
編集部:お習字のお名前は「田中素香」さん。書道の先生に、ぜひ「ゆいま~る聖ケ丘」でも教室を、と思いますが、ご無理申し上げることもできません。いつかそういう機会があったらいいですね。