ゆいま~る那須 暮らす人々の声

東京が恋しい日々もありながら、週末カフェでボランティア
那須に来たからこその出会いを大切に


ゆいま〜る那須
高木まき子さん(77歳)の場合

(入居:2011年5月)

高木さんは「ゆいま〜る那須」の隣でボランティアをされています。そのお姿はとてもお若い! それもそのはず、ご自宅には所狭しと大切な方の写真があり、数ヶ月に1度は東京へ会いにも行かれます。若さの秘訣は楽しみ上手。もっとも那須に来た当初は東京出身の高木さん、都会が恋しくて切なかったとか。新しい暮らしにどうやって慣れたのか教えていただきました。

Q:お部屋はSMAPの木村拓哉さんの写真でいっぱいですね!

高木 はい、好きなんです(笑)。木村くんを最初に見たのは、『若者のすべて』(1994年)というテレビドラマからかな。まだぜんぜんイケていない時からです。ヒットした『ロングバケーション』(1996年)の頃に、大好きだった母が逝ってしまって、そこからはもう木村くん一直線ですね。

山田洋次監督が撮った映画『武士の一分』も良かったし、ドラマで織田信長役をやった時も良かった。現代劇をやるとすかしちゃってどうかな? っていうところがあるけれど、そういう欠点も含めて、なんと言われようと好きなんです(笑)。

Q:美容師をなさっていたとうかがいました。

高木 ええ、やっておりました。うちは、父が私が中学生頃に亡くなり、それから母とずっと一緒に生きてきました。先々もきちんと生きていくためには手に職をつけないと、ということで、少し遅いんですが、30歳過ぎに美容師になったんです。資格を取って2つの美容室に勤めたのですが、母が80歳を過ぎた時に、うちの両隣の方から、「まき子さん、もういいかげん、お母さんと1日過ごせるようにしたら?」と言われまして。それで50代でしたが、お勤めを辞めたんです。しばらく何もしないで家にいたんですが、母が、「玄関をちょっと直して、ご近所の方のヘアをやらせてもらったら?」と。それで玄関と納戸と廊下の一部を壊して、小さな美容室をつくり、お仕事をやらせていただくようになったんです。

私が60歳になったときに、母が旅立ちました。89歳でした。1週間は何もできなかったのですが、仕事をしていた方が寂しい気持ちがまぎれるので、お店を再開して、以来やっておりました。

Q:「ゆいま〜る那須」に来られた理由は?

高木 母は呼吸器が弱かったんです。私も感じが似ていて喘息を持っているので、もしも母の年(89歳)まで生きられるとしたら、この先はどうなるのかなと不安がありました。母ももういませんから、父が残してくれた家を売って、自分で持っているもので間に合う範囲で、安心できるところに住みたいと思ったんです。

本当は、私は都会のネオンが好きだから(笑)、「ゆいま〜る聖ヶ丘」とか、都内の「ゆいま〜る」シリーズを見学したりしていたのです。でも、もしも長く生きられたとしたら、最後は予算がどうかな? 足りなくなったら困るなと迷っている時、「ゆいま〜る那須」を見学しませんかと高齢者住宅情報センターの方が誘ってくださり、それで日帰りで一度、あと一泊体験もしてみたんです。

那須を見てみて、まあここだったらお金もなんとかなるかなあって。実際に住んでみると、空気もきれいだから、気管支喘息が起こりません。気管支拡張剤を朝と夜、必ず飲むのですが、それを忘れる時があります。そのぐらい調子がいいんですよね。

Q:「森林ノ牧場カフェ」でボランティアをされているんですよね。

高木 週に3回ほど、午前10時から午後4時までやらせてもらっています。

私は去年の5月に入居したんですが、お隣のカフェで人手が足りないという話を聞いて、それだったら何人かの入居者の皆さんと、2時間交代でお手伝いに行きましょうか、と。それで行き始めたんです。今年から「ゆいま〜る那須」でワーカーズコレクティブ(入居者と地域の人が出資して地域で必要なことを仕事として作り、地域をよくしていく。)が始まって、皆さんいそがしくなったので、今はカフェのボランティアは私ひとりなのですが続けています。

Q:カフェでの高木さん、イキイキされていて素敵です。

高木 あら、うれしい! 今日もね、カフェの社長さんと話したんですが、彼は「自然があって、空気がおいしくて、ここが大好き。うちの両親もここに呼ぼうかな」って。でも、私は今でも東京がいいかな。「なんで高木さんは東京が恋しいの?」と聞かれたんですが、「ここでのんびりしてしまったら頭がぽーっとしちゃうじゃない。私にはここの刺激じゃ物足らないのよ」って、これが本音です。

カフェでボランティアをさせてもらっているのは、東京みたいな感じというのではないのですが、お客様がおみえになるから、人の景色が変わるじゃないですか。お客様とお話する機会もあるのですが、それも楽しいし、喜んでいただける。帰りに、ちょっとこっちを向いて、「ありがとう」と言っていただけるだけで、すごく自分がうれしくなるんです。

あと、新しいメニューができたときなど、私はスタッフではないんですが、「高木さん、これを味見して!」と意見を求められたり。少し存在を認めてくださっているのかな? それもうれいしいですよね。いっしょに何かことをできる喜びがあるのです。

Q:「ゆいま〜る那須」でのお楽しみは何でしょう?

高木 それは人との出会いです。あっ、ここに来たからこの人に会えたんだな、ということが多いんです。それは大事にしなければと思います。いいもの見つけた! ていう感じ。

ようやくこの年になってわかってきたのですが、入居者の皆さん、それぞれに素敵なものを持っているんです。

たとえば和紙で素晴らしい作品をつくる方がいらっしゃいます。どこで芸術的なセンスを磨かれたのかとうかがったら、その方の娘さんが、「お母さん、いいものをいっぱい見たほうがいいよ」と言ってくれて、美術展や展覧会をたくさん見るようにされたんだとか。その経験が和紙の作品に見事に生きているんです。

他にもセンスのいい方がたくさんいらっしゃいます。ああ、ここに来たからこの方たちに会えたんだなって。

Q:ところで、キムタクのコンサートにも行かれるのですか?

高木 もちろんです! こんどSMAPのコンサートが東京ドームであるんですが、切符がなかなか取れないみたい。抽選なんです。コンサートに行けば4時間立ちっぱなし。リズムはわかるんですが、この曲の時、一階席はグリーンのペンライトを振ってくださいとか、いろいろあるんですが、わからなくなっちゃう(笑)。両隣のお嬢さんに「4時間お願いします」と頼むと、小さい声で「はい、グリーン」「次はブルー」と教えてくれるんです。

帰りはお嬢さんたちが「大丈夫? 地下鉄の入口わかる?」ってすごく親切。「大丈夫よ、そんな年寄りじゃないんだから〜」って笑ってわかれるんですが、楽しいですよ。

那須に来た最初は東京に帰りたい、帰りたい…と思っていたんですが、東京もたまに行くからいいのかなって思うようになりました。

編集部:高木さんのお部屋に、ソフトクリームのコーンカップがありました。うかがうと、カップの手で持つところの紙を上手に巻く練習をされているのだとか。「きちんと巻かないとスポンとぬけちゃう。最初そんなことへのかっぱでできると思っていたら大きな間違いで、むずかしい! ダメ〜って言われるんです(笑)」。1つひとつが全部チャレンジ。それが高木さんの輝きの秘密だと感じました。

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