ゆいま~る花の木ブログ

「秩父」に暮らしたらもう都心に戻りたくない! 水と野菜がおいしくて気持ちいい町。秩父市役所 移住相談センターの職員が実際に暮らして感じた「秩父の魅力」


秩父市初のアクティブシニア向けのサービス付き高齢者向け住宅「ゆいま~る花の木」が、来る2019年11月中旬にオープンします。都市の便利さと田舎暮らしのよさが味わえる秩父への移住・住み替えに、興味を持たれる方もいらっしゃるでしょう。しかし……。

「秩父の実際の住み心地はどうなのか?」
「実際に移り住んだ人は、どんなところが魅力だと思っているのか?」
「住んでみてわかったのはどんなこと?」

秩父に行ったことのない人はもちろん、観光で訪れたことのある人も実際に住んでのことはわからないものです。

実際に秩父に移り住み、秩父市役所で移住促進の業務に就くお二人に「移住者」目線で生活実感のある「秩父の魅力」を語ってもらいました。

吉木美也子さん(左)

秩父市移住相談センター勤務。秩父に住んで丸2年。おいしい水と野菜は「あたりまえ」の毎日。地元の市民会館でオペラや歌舞伎を楽しみ、所用があれば池袋まで気軽に出かける生活を送っている。63歳。

冨塚秀行さん(右)

秩父市移住相談センター勤務。秩父に住んで1年1カ月。昨年12月の「秩父夜祭(ユネスコ無形文化遺産登録)」で、屋台(やたい:舞台を持つ大型の山車)」を持つ上町(かみまち)に住み、念願の屋台の曳き手として参加。祭のある町に住む気持ちのハリとここちよさを実感している。57歳。

【参考リンク】
秩父市 移住相談センター https://www.chichibu-iju.com/

第一印象は「田舎」?でも実は「意外と都会」の実感

秩父市俯瞰
秩父の象徴である武甲山を中心に。秩父市俯瞰

──秩父に住み始めて、吉木さんは2年だそうですね。秩父で暮らし始めたときの印象はいかがでしたか?

吉木:最初は、正直なところ「ほどよく田舎だな」と思いました。だけど、歩いていける範囲で生活の用事が済む暮らしやすさがある。映画館はないけれど、それ以外はなんでも揃うんです。駅の近くに市役所、税務署。パスポートも市役所でとれるから、東京や横浜より便利ですよ。

──「なんでも揃う」というと、具体的には?

吉木:まず、食べるところ。カフェ、おしゃれなフレンチイタリアンお蕎麦屋さんは、いっぱいあるから選びたい放題で、誰もそれぞれ「私のお気に入りの店」があります。それから、うどん。「埼玉は第2のうどん県」といわれる名産品で、500円でとてもおいしいところがある。そして「わらじカツ丼」に、「豚肉みそ丼」。ラーメンもおいしい店がある。ソウルフードは結構ありますね。「みそポテト」は秩父市のキャラクター「ポテくまくん」のモチーフになっているB級グルメですし、食卓でも飲食店でもだいたい置いているソウルフードがあります。秩父にきてかなり体重を増やしました(笑)。

──生活雑貨、衣料品は?

吉木:洋服も矢尾百貨店でよく買います。矢尾に行けばなんでも揃うんですよ。宝飾品、家具チケットもここで買える。結構こじゃれてて、買い物が楽しめます。スーパーで買うような食品も揃う。大型スーパーのようにアイテムが多くないので、品選びで悩まないのが逆にいいんです。

──文化・娯楽は?

吉木:秩父宮記念市民会館というのが、市役所の隣にあって、そこで「ちちぶオペラ」という団体がオペラの公演を定期的に行っていて、6,000円ぐらいで観られます。体育館や市民会館では、大相撲秩父場所、松竹大歌舞伎、寄席なんかもやっています。市民はチケットの先行申し込みができて、席を選べる。文化は豊かですね。本屋もあります。大きくはないけれど。

──そういった「暮らしやすさ」を実感しはじめたのは、秩父に住んでからどのくらいですか?

吉木:住んで1カ月ぐらいでしょうか。豊島区から移住した方も、同じように感じたと言っていました。「田舎だと思って来たけれど、意外と都会なんだよね、ここ」と。その方は、「トマトがおいしい」といって、値段も手ごろなので、秩父のお土産として豊島区に持っていくと言っていました。

──農産物もおいしいんですね。

吉木:そうなんです。イチゴがすごくおいしいんですよ。「あまりん」「かおりん」という品種は、埼玉県の新品種。落語家の林家たい平師匠が命名したんですけど、まだ量産していなくて、1パック1,000円ぐらいなんだけど本当においしいのよ。ブドウの「秩父山ルビー」もある。食いしん坊には本当にたまらない町ですね。水も空気もおいしい。食べ物もおいしい。

秩父地場野菜
採れたてで新鮮、手頃な価格で購入できる、人気の秩父地場野菜

山に囲まれた盆地という地形が作った?暮らしやすい「コンパクトな町」

──冨塚さんは、秩父で暮らしはじめて1年ちょっとですね。住みはじめたころの第一印象はいかがでしたか?

冨塚:僕は、群馬県の館林市で生まれ育ったんですが、秩父はいろんな点で館林と似通っているなと感じました。都心からの距離感や行政の大きさ。方言があること、「お世話になります」というあいさつの使い方。地元の独特の苗字があること。もともと秩父はよく知っていたんですが、生活してみて、自分も昔のなまりのあるしゃべり方が戻ってきちゃったようなところがありますね。

──吉木さんの言う「生活に必要な場所が歩いていける範囲にある便利さ」を、冨塚さんも感じていますか?

冨塚:感じています。これは、秩父が山に囲まれた盆地であることが大きいんじゃないかな。せいぜい2×4km=約8平方kmの歩いていける範囲内の土地に、市役所などの公的機関が集まっている。地勢的にそうならざるを得ないんですが、それが暮らしていく上で結構便利なんです。

──地方では車がないと暮らせない、とよくいわれますが、秩父では生活圏が徒歩で行ける範囲に小さくまとまっているんですね。

冨塚:館林というところは北関東の平野の町で、どんどん車文化の郊外型生活圏になっていくんです。幹線道路が整備されたりファミリーレストランや大きなスーパーができたりして、郊外に出ていかないと暮らせない町になってしまった。当然、街の中心部はシャッター店舗から空き地になっていく。一方、秩父の街は、山に囲まれ地勢的にそうならないのでは。生活圏、商圏が大きく変化しないことで、暮らしやすさが煎じられていく感じすらします。車保有率は館林と変わらなそうですが、非日常的な部分で行動範囲が広がり、より楽しくなるかもしれません。

おいしい水とおいしい野菜が「あたりまえ」になったら、秩父から離れられない!?

秩父神社の手水舎にて
地域をうるおす武甲山伏流水。秩父神社の手水舎にて

──冨塚さんも水や食べ物のおいしさは感じていますか?

冨塚:おいしい水やおいしい野菜は、日々の「あたりまえ」になっています。こうなると、もうやめられなくなっちゃいますよね。都心に出たとき、「こんな水をあたりまえに飲んでいたのか!」と思いました。「東京の水は、都市部では美味しい方だ」なんていうけれど、ハッキリ違います。故郷の利根川水系の館林と比べても、浄水器などつけなくても秩父の水の方が断然うまいんですよ。やさしい感じがします。

吉木:私も水のおいしさは感じます。移住した方も、「水道水がおいしい」とおっしゃっていましたね。飲み水やお風呂が影響しているのかどうかわかりませんが、「ペットの犬のアトピーが、秩父に来て1か月程で治った」という話も聞きましたよ。びっくりです。

──1~2年経った今になって感じることはありますか?

吉木:今年の夏、日照不足のために東京では野菜が値上がりしましたが、秩父でしか野菜を買わないので、そのことを知りませんでした。秩父に来た姉がそういう話をしていたので、「じゃあ農協で買っていく?」といったら、野菜ばかり3,000円分も買っていった。秩父では、長雨でも野菜が高くならないし、品不足にもならなかったんです。これは今回初めて気づきました。「峠を越える越えないで違うんだな」と思ったんです。

──野菜の供給が安定しているのにも、盆地という地形が関係しているということですか?

吉木:そうですね。もともと地産地消で、秩父圏域で経済が回っているような気がします。欲を出さないから質が守られる。外に流れていかないから、供給が安定しているんだと思います。野菜、果物だけでなく、秩父のお酒も峠を越えないというか、峠を越えるあたりでは流通しないようです。

──地元の人も、よそのお酒をありがたく飲んだりせず、地元のお酒を愛飲するんでしょうか?

吉木:そうかもしれないですね。みなさん地元のお酒をおいしいと思っていますし、愛していると思います。そもそも地元の人には「秩父愛」がある。「地元の馴染みの店を利用する」という当たり前の行動があって、愛してやまない。だから、よそからチェーン店の入ってくる余地があまりないらしいんです。

──ほかにも「秩父愛」を感じることはありますか?

吉木:自分の町を愛しているから、自宅の前をきれいに掃除する。そういう家がずーっと続いているから、町全体がきれいになる、というのは感じています。朝、通勤する時に、商店街で店の前を掃いている人をいっぱい見るので、最初は本当にびっくりしました。

──町がきれいなのは、秩父神社をはじめとして秩父三十四ヶ所観音霊場札所巡りなど、観光スポットが多いことも関係しているかもしれませんね。

吉木札所巡りの「おもてなし文化」も影響していそうです。特に秩父神社のまわりのお家は、いつもきれい。落ち葉の季節も毎朝ささっと掃除をしているので、「通らせてもらってすみません、ありがとう」という気持ちになります。

「地元愛」と「祭」のある町で暮らす心地よさ

秩父夜祭
↑12月に盛大に開催される「秩父夜祭」。勇壮な屋台(山車)と花火が心を震わせる

冨塚:僕は、ここで暮らしていて、「地元愛」から郷土の秩父愛というのを感じています。僕らが住んでいるのは、「ゆいま~る花の木」ができる上町(かみまち)なんですけれど、町内会の人が町の中にいても「上町」と書かれたTシャツを着ていたりして、誇りをもっている反面、わりとシャイな感じもします。氏神がある=300年以上の歴史を持つ「秩父祭屋台」を持っている町は、特にそれが強いと思う。精神の柱になっているのが、祭の屋台だったりする。地元愛はそこからきているのかなと思いますね。

──冨塚さんも、祭りに参加されたんですか?

冨塚:昨年(2018年)の秩父夜祭では、上町町会に正規に登録をして、屋台を曳かせてもらいました。伝統ある祭に参加するにはたくさんの役割があります。新参者は綱の引手からというところです。伝統文化にはたくさんのルール(しきたり)があり、町内会保存会によって違いがあるようですが、上町ではよそから来た人が祭に入れないということはないです。また、「半纏(はんてん)」が貸与され、「上町」の紋が入った半纏の袖に手を通すと、気が引き締まると思いと同時に高揚感がありました。

──たとえば、ゆいま~る花の木に移住したシニアの方が、自分も屋台を引いてみたいなと思ったら、参加できるのでしょうか?

冨塚参加はできると思います。僕は、上町の屋台を曳くメンバーの中では年齢が最上の方でしょうね。屋台を曳くメンバーは、やっぱり威勢のいい人で、半分くらいは女性です。何十年も祭に関わってきた地元のシニアは、「行事部」の役職を経て裏方で伝統や規律を支える側になるようです。激しいぶつかり合いも含めて2日間きちっと、夜中3時頃に屋台が収蔵庫に収まるまで付き合える人でしたら歓迎です。僕は、また今年も絶対参加します。希望の方がいたらお世話します。

──最大規模の「秩父夜祭」は12月ですよね。その前はやはり盛り上がりますか?

冨塚秩父市とその周辺では年間300ぐらいの祭があるといわれています。「秩父では祭を中心にカレンダーが動いていく」というくらいで、手作りロケットを打ち上げる「龍勢まつり」、甘酒をかけあう「甘酒まつり」、露店が並ぶ縁日っぽいお祭り、ウイスキー祭、奇祭など、いろいろな祭イベントが年間通してどこかで開催されています。その中でも夜祭は別格で、2日間で30万人以上の人が来られ、6千発の打ち上げ花火が上がる、秩父市あげての最大イベントです。夜祭の2か月前、10月初めころから、街中いたるところで祭囃子太鼓の練習の音が聞こえてきて、徐々に緊張感が増してきます。大小の祭りイベントが年中あるから、生活にもメリハリが生まれるのだと思います。

1年2年暮らしてもやっぱり住みやすい!「意外と都会」の魅力は変わらない

↑秩父の暮らしになじんだお二人。ゆいま~る花の木に隣接する「秩父市花の木交流センター」にて

──1~2年暮らしてみて、秩父の「ここが不便」というところはありますか?

冨塚:道が狭めで、ちょっと路面が悪いこと。町のサイズとしては、起伏も少なく自転車に乗れるとちょうどいいサイズなんですけれど、乗っているとガタガタします。

吉木:スギ花粉症の人は、やめたほうがいいです。車が花粉でベタベタになって、ぬるま湯でないと落ちないくらい、花粉が多いですから。もっとも、秩父が好きで、「親子でスギ花粉症だけど、その時期だけ我慢すればいいから」という方もいましたね。

──交通マナーはどうでしょうか?

冨塚:道が狭いせいか、マナーはいいと思いますよ。事故を起こしたくないのはお互い様ですから。狭い道はゆずってナンボです。小さい町の特徴として、車に乗っていて車種と色に見覚えがあると「もしかしたら○○かな?」と、のぞき込んで見ることが多いですね。逆もありで、だから、道を譲りあうのがあいさつ代わりです。

──今でも「意外と都会で住みやすい」という感覚は、変わりませんか?

吉木:それは変わらないですね。仕事で池袋に行ったら「今日はこっちに泊まるの?」と言われてびっくり。夜の飲みにつきあってからでも、余裕で帰れますからね!(池袋発10時半の最終電車で12時ころ西武秩父駅に到着)秩父に着くとほっとするのが不思議です。

冨塚:故郷の田舎町群馬県館林市、1年前まで住んでいた東京都町田市と比べたら、生活の利便性でいったら町田市かもしれませんが、愛着を持てる町かという意味では、どちらにも勝る魅力があって暮らせる田舎です。住みやすいです。即答ですよ。

──どんな方に、秩父での暮らしをおすすめしますか?

冨塚心身に余裕があり、セカンドステージで、積極的に新しい土地での開拓・発見を求める方。そして、祭でわくわくするような精神的なハリを求める方におすすめします。観光気分で選ぶなら、よい温泉、景勝地、寺社仏閣、歴史や町を挙げての祭のあるところはほかにもあるでしょう。でも「秩父で暮らす良さ」は、ここに住まないと味わえませんよ。

吉木人との関わりが好きな方。そして、適当に不便を楽しめる方におすすめします。昔からある飲食店と、移住者が開いたカフェが共存し、地元に愛着を持つ人が、現在進行形で自分たちの住む町をつくっている。そんな町で暮らしたい方をお待ちしています。

みそポテト
人気のB級グルメ「みそポテト」
秩父市イメージキャラクター ポテくまくん
秩父市イメージキャラクター「ポテくまくん」が手にしているのが、みそポテト
秩父神社、慈眼寺
神社やお寺は、町の風景の一部だ。秩父神社(左)、札所13番慈眼寺のメグスリノキ(右)
2018年秩父夜祭
2018年の秩父夜祭に参加した冨塚さん
「歩いて感じる『花の木プロジェクト 計画地見学会』では、さらに詳しい地元情報をお話ししています。ご参加をお待ちしています」

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