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『同居はしない、ほどよい距離を保つ親子/兄弟姉妹/友人との近居』、 「ゆいま~る」での事例を長年見てきた玉井美子運営部担当取締役が「近居」のメリットを語ります


「人生100年時代」が実感されるに従い、高齢になった親が子ども家族と同居するのではなく、お互いが独立した暮らしをしながらも近くに住む、いわゆる「近居」のパターンが増えています。ただし元気なうちに住み替える住居を提供してきた「ゆいま~るシリーズ」では、「近居」は昔から珍しいことではありませんでした。こうした実例を長年見てきた、弊社(株)コミュニティネットの玉井美子運営部担当取締役が、近居の様々な様子やメリット/デメリットを語りました。親子の近居だけでなく、兄弟姉妹、あるいは友人同士の近居も、今後はより一般的な選択肢になりそうです。

2018年11月にオープンした「ゆいま~る神南」では、入居の大きな動機として、子ども・兄弟姉妹が近くに住んでいることを挙げる方が半数程度を占めています。この比率は私どもから見ても意外な大きさでした。こうした「近居」は以前からあるパターンですが、ここにきて改めて日本全体で大きなトレンドになる可能性がありそうだと感じています(詳しくはこちら)。

ただし私どもにとっては、こうした近居は昔から珍しいことではありませんでした。まだまだ元気なうちに住み替える例が多い「ゆいま~るシリーズ」の入居者の場合、近居は以前から少なからぬ比率を占めています。ここでは「ゆいま~るシリーズ」での近居の例を思い起こしながら、どのようなバリエーションがあってそのメリットはなにか、デメリットはあるのか、近居に関連して「ゆいま~るシリーズ」での生活サポートはどのような役割を果たせるのかといったことをお話ししようと思います。

近居はとにかく“安心”をもたらす

「ゆいま~る」で暮らす人の近居のパターンとして、親が自ら子どもの近くに住もうとする場合と、子どもから呼び寄せるパターンがありますね。前者の例として、「娘が多摩にいるので」という理由で、23区内から、あるいは遠くは関西から、多摩にある「ゆいま~る」に引っ越した方は何人も頭に浮かびます。こういう人は自分で考えて、自分で動くという自立しているひとですね。娘さんや息子さんがリードする場合は、要支援・要介護の状態になっていたり、かなり年齢が高い場合が多いですね。

自分で決めて住み替えた方で今思い浮かべている方は、近居なのですけれど、その娘さんに会いに行くことはほとんどない。逆に娘さんが2~3カ月に1度くらいの頻度で、母親の様子を見に来るのです。これくらいの頻度だと、遠くに住んでいても同じではないかという気もするのですが、近いということでなんとなく安心感があるのでしょう。いざというときにはすぐに来てもらえる距離だし、本人の気持ちは遠くに住むのとは違うのでしょうね。分かる気がします。

逆に親が高齢になると、子どもは仕事を続けながら遠い場所に住む親を頻繁に見に行くのは難しく、気になって仕方がないという状態になる。近居であれば、親の様子をうかがいながら、自分の仕事を続けることができて、時間的に楽になります。

ただし、近居によって親御さんの生活環境ががらりと変わって、親御さんが戸惑ってしまうとなると大変です。だから近居は親御さんが、生活環境が変わってもそれに適応して自分の暮らしを組み立てられるくらいに元気な場合か、逆に生活環境が変わってもあまり関係ないほど自らは動けなくなった状態の場合に、成立するのでしょうね。

後者の場合は、子どもが呼び寄せるパターンが多いですね。すでに自由に出かけたりすることが難しい親の状態、自分の部屋で自立した生活を送ることはできるけれど、遠出は難しい、買い物などは娘や息子に頼むという生活をする方もいます。後者の近居でも、親が元気なうちは親がマイペースで過ごし、老いがすすむと主導権が徐々に子どもに移っていくのが自然なのでしょうね。

子どもがいない兄弟姉妹を呼び寄せる例も

近居とひとくちに言っても、親子ではなく、兄弟姉妹の例もあります。オープン時に私がハウス長を務めていた「ゆいま~る」では、入居者の実に5%くらいがこの姉妹近居のパターンでした。それぞれが離れた場所で暮らしていた姉妹が隣同士の部屋に入居したり、広い部屋にふたりで暮らす場合も・・・これは同居ですね、でも超近居と言った方がぴったりくる気がします。

子どもがいない兄弟姉妹を心配して、近くに呼び寄せるという例も少なくありません。一方で、大きな戸建てでのひとり暮らしに少し不安を感じ始めた人が、子どももいるけれども、子ども家族の近くではなく、兄弟姉妹の近くを自分で選んで越してくることもあります。この場合の住み替え先は、生まれ故郷ということが多いですね。

子との近居より、友人との近居を選ぶひとも

友人との近居を選ぶ人もいます。これからもっともっと増えてくるのではないかとも思います。「ゆいま~る」では、先行して入居した女性のお稽古事の仲間が次々に入居してくることもありました。いまではみなさん80歳代になりましたが、ほどよい距離をとりながらきちんと暮らしていらっしゃいます。ほかの老人ホームから、友達といっしょに「ゆいま~る」の別々の部屋に越して来る例もあります。

こうした友人近居を選ぶ方は、自立度は高いですね。身体的というより精神的な自立度が。こうした自立度はインテリかどうかとか、職業とか、とは関係ないです。専業主婦だった人も、日々を丁寧に暮らすことができるような方の自立度は高いですね。

男性で友人近居をする方は、思い出せませんね……。

近居の弊害は……あまりないのでは?

近居の弊害のようなものがあるか、考えてみましたが、あまり思い浮かばないですね。親子近居で互いに干渉しあって問題になったという例も知りません。あるとしたら、呼び寄せた子どもサイドは「近くに住むことになったから、それで十分でしょ」という気持ちなのか、何も関わらなくなって、親はかえって寂しい思いするのではないかと思わされる場面でしょうか。子どもからすると「ゆいま~る」にはスタッフもいるしということなのでしょうが、ケアマネジャーを中心とするサービス担当者会議には同席してくれればいいのになと思うこともあります。

兄弟姉妹の近居で、呼び寄せられた方に、少し遠慮のようなものがあるなと感じることはあります。心配していろいろ言ってくれるのだけれど、呼び寄せられた方はそれがちょっと疲れるなぁと思うことはあるようです。近くにいるだけで安心感があるので、接触の程度は遠くに住んでいたときと同じくらいでよいのに……という感覚だと思います。これを見ても、近居は安心のひとつの形だと言えますよね。

近居の弊害と言えるかどうか分かりませんが、親子近居をしたけれど、友人と離れた生活をするのがつらくて、友人近居に切り替えるという例はいくつかあります。親子近居で「ゆいま~る」に移り住んだけれども、友人から遠くなって言葉(方言)の違いもつらくて、また元の地域に戻った人もいます。逆にいったんは親子近居を選んだけれど、友人近居に切り替えて「ゆいま~る」に入居した人もいます。

スタッフが第三者として緩衝材に

フロントの生活コーディネーターは近居の家族とも接触します。親の生活に関する情報交換とかね。もちろん、ときどき娘や息子、あるいは呼び寄せた兄弟姉妹が電話してきて、「ちゃんとやっていますかね?」なんて問い合わせてくることもあります。生活コーディネーターが第三者としてクッション材になることで、近居の関係が穏やかなものになるという効果はあると思います。直接聞くと角が立つこともあるでしょう。

間に入って苦労したこともあります。ある例では親子の距離が近過ぎて、生活のすべてについて子どもが口をはさむような状況となり、親子関係がぎくしゃくしていたことがありました。しかし「ゆいま~る」に入居され、スタッフのサポートの中、親が落ち着いた日常を送るようになると、次第に親子の関係も適性の距離をとれるようになりました。これも、「ゆいま~る」が緩衝材の役割を果たした例だと思っています。第三者が介在することのない単なる近居では、関係の改善は難しかったかもしれません。

友人近居も、第三者が介在しない形ではどこかで煮詰まった状態になる可能性もありますよね。そこに、生活コーディネーター、コンシェルジュのような介在役を、「ゆいま~る」のフロントは果たせると思います。

以上のように「ゆいま~る」では近居は珍しい例ではありませんが、「人生100年時代」という言葉が浸透するに従って、近居にメリットがあることに気付く人は増えていくでしょう。子世代が自分の老後を考え始める頃になっても親は実家で独居していたりして、お互いの将来の暮らし方を同時並行して考えざるを得ない状況も珍しくなくなりました。こうした状態から、ひとり暮らしの親が心配な子世代や親自身が近居を選ぶケースが増えていくだろうと考えています。「ゆいま~る」は今後も、元気で活動的な生活を送ることのできる近居の受け皿としても発展していきたいと思います。

 

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