ブログ部会発足!「ゆいま~るの朝」
玉川上水の桜が今度は綺麗な新緑をつけ、朝にはヒヨドリの鳴き声が聞こえる拝島では、
先日ブログ部会が発足し、さっそくハウスの居住者よりとても素敵な原稿を頂きました。
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「ゆいま~るの朝」
どこかで鳥が鳴いたような気がした。
またうとうと眠りかけたとき今度ははっきりと聞こえた。
カラスだ。
カァーという一声。
おや珍しいねと思いながらつがい烏の鳴き声を聞こうとして目覚めた。
けれども鳴いたような啼かなかったような感じで判然としなかった。
「ゆいま~る拝島」、私はこのハウスの遮音性にほぼ満足している。
ここ福生市は「首都のオキナワ」ともいうべき基地の街。
低空で飛ぶ飛行機の轟音が時々侵入してくる。
そのほかでは特殊なバイクのけたたましい騒音くらいで近くを走る電車の音も表通りの車の音もほとんど気にならない。
なのにカラスの一声は鮮やかに私を目覚めさせたのであった。
洗顔の後、血圧を測る。一度目は高めに出るので三回測る。
そして邪道と知りつつ低い数字を記録する。
それから食堂におりていくまでテレビを見る。普段は連続ドラマ「花子とアン」などだが
今日は「自然百景」で多摩川の源流「小菅川」の清流を紹介していた。
春を迎え、雪解け水も急峻な山襞を流れ下り、ようやく温んだ川底にはすでに岩魚(いわな)などが数多く泳いでいた。
川辺の蛙は流れのゆるやかな川底を見つけて産卵する。
そしてそのあと春眠に入るのだという。
この清流が都県境を越えて多摩川となりハウスの傍らの玉川上水となる。
この土地にはぐくまれた何千年という自然と人間の営み、私はそれを今朝のカラスとテレビで感じ得たように思った。
ハウスがオープンしてほぼ二ヵ月後に私は入居した。あと六日で満一年となる。
ここにはそれぞれの人生を生きてこられた高齢者が集う。
「おはようございます」の挨拶やらおしゃべりやら。
その朝食に今日も仲間入りさせていただく。
2014年4月20日(真木)