人生で大切なことはみんな「ここ」で教わった@広報担当ヘルパー日記
今日の多摩市は、暖かな一日でした。ひらひらと桜も散りはじめています。
良寛さんの「散るさくら 残るさくらも 散るさくら」の句を思い出します。
今日で実習も3日目。今日は、デイサービスでの実習です。
デイサービスとは、教科書には「通所介護で、特別養護老人ホームや老人デイサービスセンターなどに通ってもらい、入浴や食事の提供と、その介護、生活などについての相談、助言、健康状態の確認など日常生活の世話や機能訓練などを行うサービス」と書かれています。高齢者の在宅生活の支援、社会的孤立感の解消、対象者の心身機能の維持、向上に加え、家族の身体的、精神的負担の軽減などを目的として行われます。
今日の一日の流れは、椅子に座ってのラジオ体操、合唱、レクリエレーション(頭を使うゲーム)、口腔体操、リハビリ体操、レクリエレーション(身体を使うゲーム)と盛りだくさん。
ご利用者さんの人数は、24名。まず驚いたことは、みなさんよくしゃべる、しゃべるということだ。火曜日、水曜日と特別養護老人ホームでの実習で、入居されている方の介護度が高く、ご自分からお話される方は、ほとんどいらっしゃらなかったので、言葉を話せるということ、笑えるということ、言葉で意志を伝えることができることに、改めて人間は多くのことを言葉で伝えていることがよくわかる。
ご利用者さんがいらしてから、まずお茶を召し上がられる。お茶の給仕をしていると、どこからか「Mさん、お茶のお代わり下さい!」とご利用者さんから声をかけられ、びっくり。まだ自己紹介をしていなかったので、なんでわかったのだろう、と思うとホワイトボードに「実習生のMさん」と書かれていました。驚いたことを伝えると、「だって、名前を呼んだら来てくれると思ったから!うふふ!」とにっこり。
実習に来て3日目、スタッフの方からは「実習生さん」とずっと呼ばれていました。名前ではなく「実習生さん」と呼ばれることに少し違和感を感じてはいましたが、そういうものだろう、とさほど気にしていなかったのですが、「Mさん!」と自分の名前を呼ばれた時に、言葉がドーンと自分の身体と心にぶつかって、「あ!私のことだ!」とはっきりと感じることができました。「自分の名前を呼ばれること」、これは個として、とても大切なことです。ご利用者さんの名前を呼び、話かけること、名前を覚えてもらうことは、当たり前に嬉しいことです。自分がその他大勢ではなく、一人の個であること、それは名前を呼ばれること、そこから始まるのかもしれません。
デイサービスでの、リハビリ体操は椅子に座って行うものでしたが、これは私がやっても結構ハードなものでした。左半身が不自由な方でも、一生懸命、自分のペースで体操をしていました。みんなと一緒に体操すること、とても楽しそうに行っていました。ご利用者さんの中では、「家にいるとゴロゴロしてばかりだから、身体を動かすのは楽しい」という声が多く聞かれました。
レクリエレーションの目的は、①安らぎ②ふれあい③行事、文化活動④教育、治療の4つに分類されるそうです。楽しみだけではなく、ご利用者さんの機能回復訓練にもなります。頭を使うゲームでは、積極的に考える方と、こちらが声掛けをしないと、なかなか参加されない方とそれぞれ。積極的に参加していただくのには、スタッフの声掛けも必要であると感じました。
レクリエレーションの合間や、食事の後は、おしゃべりタイム。みなさん、疎開の話、健康の話、子どもさんの話など、それぞれの時間を過ごされていました。積極的にお話をされる方、話の輪に入らない方、居眠りをしてしまう人とそれぞれ。スタッフが話のきっかけづくりすること、話を広げたり、ご利用者さん同士のコミュニケーションを促すことも大切です。スタッフが中心になるのではなく、ご利用者さん同士がコミュニケーションをとるための、サポートをすることが大切です。
デイサービスの実習が終わり、こちらの施設での実習も終わり。1日目2日目にお世話になった特別養護老人ホームに挨拶に行く。よくお話してくださった90代の女性に挨拶に行くと、「あんたなら大丈夫だよ。ほどほどにがんばりな。出逢えて嬉しかった。」と涙を浮かべながら、手をギュッと握りしめてくれました。思わず涙が出そうになりましたが、がまん。がまん。胸がいっぱいになりながら、施設を出ました。
会おうと思えば、彼女に会いに行くことはできます。私も自分のいつもの生活が始まれば、自分の生活に戻っていきます。彼女とお話したのは、2日間の間でも1時間あるかどうか。その中で、人の見かたや人生のとらえかたを学ばせていただきました。介護する側、される側というよりも、何か人生について学ばせていただいたように思います。彼女が教えてくれた心を胸に、まずは自分が変わること、それが彼女への恩返しであると思っています。